山羊乳キャラメルの受容性

近年，山羊乳はアレルギー反応が起こりにくい利点等が注目されており，国外では山羊乳製品の需要は高いものの，国内での生産や流通は多くない。今後の日本国内における食の多様性拡大や山羊乳普及を視野に入れて，消費者の山羊乳製品に対する受容性の基礎的知見を得るため，山羊乳キャラメルを用いて牛乳キャラメルとの比較，考察を行った。色調，香り，味および総合評価の官能試験を121名を対象に実施した。色調の評価は良かったが，男性より女性の評価が厳格な傾向があった。香りの評価は並みであり，山羊乳での30歳代以下の評価は，女性が男性より高い傾向があった。味の評価は良かったが，総合評価は30歳代以下で山羊乳キャラメルが牛乳キャラメルより低かった。また，約50gのキャラメル入り1箱の市販価格の推定を求めたところ，山羊乳キャラメルが189円，牛乳キャラメルが193円であり，購入に値すると判断された。30歳代以下では前者が後者より低い推定であったが，40歳代以上では前者が後者より高く推定された。40歳代以上は山羊乳への抵抗が少なく，国内での山羊乳の価値への認識が高いと推測された。山羊乳キャラメルは牛乳キャラメルと比較して，色調，香りおよび味において同等の評価を得た一方で，総合評価はやや劣った。40歳代以上では山羊乳キャラメルの評価が高かったが，30歳代以下では牛乳キャラメルの評価がより高い傾向にあった。今後は山羊乳の利点をさらに周知し，山羊乳を飲んだ経験が少ない若年層に受け入れられる風味作り等の改善が求められる。