リンゴ新品種‘さんたろう

1.‘さんたろう’は農林省果樹試験場盛岡支場(現独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所リンゴ研究拠点)において1976年に‘はつあき’に‘スターキング・デリシャス’を交雑して得た実生から選抜された中生でやや酸味の強い三倍体の赤色リンゴ品種である。1986年に一次選抜し,1989年から「リンゴ盛岡50号」の系統名を付けてリンゴ第4回系統適応性・特性検定試験に供試した。2000年10月25日付けで‘さんたろう’と命名され,「りんご農林17号」として公表された。また,2003年3月26日付けで種苗法に基づき登録番号第11257号として品種登録された。2.樹勢は中程度で樹姿は開張性を呈す...

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Veröffentlicht in:Kaju Kenkyuujo kenkyuu houkoku 2013-03 (15), p.7-19
Hauptverfasser: 副島, 淳一, 別所, 英男, 吉田, 義雄, 羽生田, 忠敬, 増田, 哲男, 小森, 貞男, 土屋, 七郎, 伊藤, 祐司, 真田, 哲朗, 阿部, 和幸, 古藤田, 信博, 加藤, 秀憲, 樫村, 芳記
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:1.‘さんたろう’は農林省果樹試験場盛岡支場(現独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所リンゴ研究拠点)において1976年に‘はつあき’に‘スターキング・デリシャス’を交雑して得た実生から選抜された中生でやや酸味の強い三倍体の赤色リンゴ品種である。1986年に一次選抜し,1989年から「リンゴ盛岡50号」の系統名を付けてリンゴ第4回系統適応性・特性検定試験に供試した。2000年10月25日付けで‘さんたろう’と命名され,「りんご農林17号」として公表された。また,2003年3月26日付けで種苗法に基づき登録番号第11257号として品種登録された。2.樹勢は中程度で樹姿は開張性を呈する。短果枝の着生は中程度で腋花芽の着生は多い。満開日は‘ジョナゴールド’および‘千秋’とほぼ同時期である。S遺伝子型はS3S9S28であるため,遺伝子型が重複している‘世界一’,‘陽光’とは交雑不和合であり,‘夏緑’,‘きたろう’等とも不和合性を示すことが推定されるが,‘つがる’,‘ふじ’等の主要経済品種とは和合である。育成地における果実の成熟期は10月上旬(満開後137日)で,年によって‘千秋’と同時期かやや早い。成熟期に達するとやや収穫前落果が発生する。比較的豊産性である。斑点落葉病には抵抗性,黒星病には罹病性である。3.果実の大きさは育成地では350g前後で,‘千秋’より大きい。果形は円形で果面さびの発生は少なく,果皮は全面が濃赤色に美しく着色し,外観が優れている。裂果や心かびの発生は認められない。果汁が多くて歯ざわりが良く,糖度(Brix)は12.5%,滴定酸度(リンゴ酸換算)は0.69g/100ml前後を示し,やや酸味が強い。果肉に蜜は入らない。貯蔵性は冷蔵で80日前後で,‘千秋’や‘ジョナゴールド’とほぼ同程度である。常温では12日前後鮮度保持が可能である。4.本品種は東北地方以北の主要リンゴ栽培地帯に適すると考えられ,豊産性で外観と比較的食味が優れた生食・加工兼用品種として普及が期待される。
ISSN:1347-3549
DOI:10.24514/00002050