トマト果梗における物理的処理後の組織形態の変化

トマトの裂果発生抑制対策として,果梗部をペンチで強く捻枝し,果実への水分流入を阻止する技術がある.物理的処理が果梗部位の維管束などの組織形態に及ぼす変化について不明であるため,処理後の内部構造の変化について観察した.捻枝処理1日後,果梗内部では二次木部と形成層が乖離し,髄の部位,皮層の繊維細胞周辺なども空隙が観察され,形成層部位は細胞の配列が乱れており,破壊されたことが伺えた.処理3日後,師部周辺では,新しい細胞壁が形成され,細胞質が密となりカルス化した.形成層付近の剥離した部位の細胞は肥大していた.カルス化した内部では,傷道管が形成された.処理5~9日後に,カルス化し増殖した組織中には,多く...

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Veröffentlicht in:Engeigaku kenkyuu 2012, Vol.11(4), pp.569-575
Hauptverfasser: 鈴木, 克己, 木村, 一郎, 河崎, 靖, 安場, 健一郎, 東出, 忠桐
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:トマトの裂果発生抑制対策として,果梗部をペンチで強く捻枝し,果実への水分流入を阻止する技術がある.物理的処理が果梗部位の維管束などの組織形態に及ぼす変化について不明であるため,処理後の内部構造の変化について観察した.捻枝処理1日後,果梗内部では二次木部と形成層が乖離し,髄の部位,皮層の繊維細胞周辺なども空隙が観察され,形成層部位は細胞の配列が乱れており,破壊されたことが伺えた.処理3日後,師部周辺では,新しい細胞壁が形成され,細胞質が密となりカルス化した.形成層付近の剥離した部位の細胞は肥大していた.カルス化した内部では,傷道管が形成された.処理5~9日後に,カルス化し増殖した組織中には,多くの傷道管や,新たな形成層,師管が形成され,正常部位と維管束との連絡が観察された.以上の結果から,果梗を物理的に処理することで維管束は破壊され,果実への水の流れは一旦阻害されるが,新たな維管束連絡ができることで,果実への養分の供給は復活すると思われた.
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.11.569