水稲の鉄コーティング種子から発生するヒドロキシラジカルと細菌増殖抑制効果

鉄コーティング種子は水稲の直播栽培技術として開発されたが,水稲育苗期の種子伝染性病害の抑制にも効果がある.その原因を明らかにする目的で水稲苗立枯病菌を用いて検討した.種子を被膜している鉄錆から二価鉄イオンが遊離し,ヒドロキシラジカルやスーパーオキサイドが発生した.これらのラジカルが細菌の増殖抑制作用を示すと結論した.鉄コーティング比が大きいほど二価鉄イオン濃度が上昇し,ヒドロキシラジカルの発生量が大きくなり,少なくとも12日間継続発生した.ヒドロキシラジカルの発生には水溶液中に酸素と二価鉄イオンの共存が必須である.さらに水田土壌は代かきのような土壌と水の攪拌によってヒドロキシラジカルが容易に発...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Nippon dojō hiryōgaku zasshi 2012/08/05, Vol.83(4), pp.412-417
Hauptverfasser: 藤原, 加奈子, 重政, 東里, 鹿嶋, 智之, 小野, 広樹, 正岡, 淑邦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:鉄コーティング種子は水稲の直播栽培技術として開発されたが,水稲育苗期の種子伝染性病害の抑制にも効果がある.その原因を明らかにする目的で水稲苗立枯病菌を用いて検討した.種子を被膜している鉄錆から二価鉄イオンが遊離し,ヒドロキシラジカルやスーパーオキサイドが発生した.これらのラジカルが細菌の増殖抑制作用を示すと結論した.鉄コーティング比が大きいほど二価鉄イオン濃度が上昇し,ヒドロキシラジカルの発生量が大きくなり,少なくとも12日間継続発生した.ヒドロキシラジカルの発生には水溶液中に酸素と二価鉄イオンの共存が必須である.さらに水田土壌は代かきのような土壌と水の攪拌によってヒドロキシラジカルが容易に発生する環境であることも明らかにした.
ISSN:0029-0610
2424-0583
DOI:10.20710/dojo.83.4_412