リンゴ新品種'きたろう'
1. 'きたろう'は果樹試験場盛岡支場(現果樹研究所リンゴ研究拠点)において1976年に'ふじ'に'はつあき'を交雑して得た実生から選抜された。中生で食味の良い二倍体の黄リンゴ品種である。1986年に一次選抜し,1989年からリンゴ盛岡52号の系統名を付けてリンゴ第4回系統適応性・特性検定試験に供試した。その結果,1997年8月19日付けで'きたろう'と命名され,りんご農林12号として公表された。また,2000年7月31日付けで種苗法に基づき登録番号第8222号として品種登録された。2. 樹勢は中庸で,樹姿は開張性...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | Kaju Kenkyuujo kenkyuu houkoku 2012-03 (13), p.27-38 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 1. 'きたろう'は果樹試験場盛岡支場(現果樹研究所リンゴ研究拠点)において1976年に'ふじ'に'はつあき'を交雑して得た実生から選抜された。中生で食味の良い二倍体の黄リンゴ品種である。1986年に一次選抜し,1989年からリンゴ盛岡52号の系統名を付けてリンゴ第4回系統適応性・特性検定試験に供試した。その結果,1997年8月19日付けで'きたろう'と命名され,りんご農林12号として公表された。また,2000年7月31日付けで種苗法に基づき登録番号第8222号として品種登録された。2. 樹勢は中庸で,樹姿は開張性~やや開張性を呈する。短果枝および腋花芽の着生量は中程度である。開花期はやや遅く,'ふじ'より4日前後遅れる。S遺伝子型はS3S9であるため,同じS遺伝子型を有する'世界一','ハックナイン'等の品種とは交雑不和合であるが,それら以外の主要経済品種とは和合である。収量性は中程度であるが,着果過多になると隔年結果しやすい傾向がある。果実の成熟期は育成地(岩手県盛岡市)では10月中旬で,'ゴールデン・デリシャス'より1週間程度早い。収穫前落果がやや多い。斑点落葉病には抵抗性,黒星病には罹病性である。3. 果実の大きさは育成地では266gで,'ゴールデン・デリシャス'と同程度である。果形は扁円形で,果皮色は黄色であるが,陽光面は淡紅色に着色する。果面さびが発生しやすいため,外観はやや劣る。年により,こうあ部にやや裂果を生じる場合がある。糖度(Brix)は育成地では15。7%と高く,滴定酸含量(リンゴ酸換算)は0.51g/100ml前後を示し,甘酸適和で食味は濃厚である。肉質はやや粗く,硬いが,果汁の量は多い。通常果肉に蜜は入らないが,年によっては完熟果に少量の発生が認められる場合もある。比較的日持ち性が優れており,常温で30日,冷蔵で85日間程度の貯蔵が可能である。4. 北海道で,晩生種'ふじ'の良品生産が困難な地域においては,貯蔵用リンゴとして本品種の生産が期待されている。また,他の地域においても,食味の良さから地場消費用としての普及が期待される。 |
---|---|
ISSN: | 1347-3549 |
DOI: | 10.24514/00001999 |