鶏肉のテクスチャーおよび嗜好性に及ぼすパパイン処理の影響

口腔機能が低下した高齢者への食肉として最適な鶏肉質の改良を目的とし,濃度の異なるパパインを用いてミンチ処理した鶏肉の軟化を試み,高齢者食に必要な食品物性とおいしさの関連性について官能評価および鶏肉組織学的観察を行った。その結果,以下の知見を得た。(1)鶏肉試料における官能評価では,鶏肉へのパパイン処理濃度(0.1,0.3および0.5%)の増加に伴い,鶏肉の「硬さ」は柔らかくなり,「舌での潰れやすさ」および「飲み込みやすさ」は容易になる傾向を示した。一方,嗜好性(おいしさ)についてはパパイン処理濃度の増加に伴い,減少する傾向を示した。(2)0.2%酵素処理鶏肉試料の官能評価では,酵素処理前試料(...

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Veröffentlicht in:Food preservation science 2013, Vol.39(1), pp.3-8
Hauptverfasser: 松隈, 美紀, 高橋, 誠, 藤田, 守, 松隈, 紀生, 藤田, 修二, 和田, 浩二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:口腔機能が低下した高齢者への食肉として最適な鶏肉質の改良を目的とし,濃度の異なるパパインを用いてミンチ処理した鶏肉の軟化を試み,高齢者食に必要な食品物性とおいしさの関連性について官能評価および鶏肉組織学的観察を行った。その結果,以下の知見を得た。(1)鶏肉試料における官能評価では,鶏肉へのパパイン処理濃度(0.1,0.3および0.5%)の増加に伴い,鶏肉の「硬さ」は柔らかくなり,「舌での潰れやすさ」および「飲み込みやすさ」は容易になる傾向を示した。一方,嗜好性(おいしさ)についてはパパイン処理濃度の増加に伴い,減少する傾向を示した。(2)0.2%酵素処理鶏肉試料の官能評価では,酵素処理前試料(対照区)と比べて有意なテクスチャー(「硬さ」,「舌での潰れやすさ」および「飲み込みやすさ」)の変化を示したが,おいしさの低下は認められなかった。(3)鶏肉のパパイン処理によって筋細胞の筋束から分離,結合組織の切断および消失が観察され,官能評価におけるテクスチャーの変化の要因と考えられた。(4)鶏肉へのパパイン処理濃度の増加に伴い,筋内膜の切断または消失が観察され,官能評価におけるおいしさの低下の要因と考えられた。以上の結果より,パパイン処理による鶏肉の軟化と嗜好性には密接な関連があり,酵素処理時間を一定にした場合,酵素濃度が高すぎると筋内膜が消失し,著しく嗜好性が低下することが明らかとなった。したがって,高齢者食に活用する鶏肉の軟化にパパインを使用する場合,適度な柔らかさが嗜好性の維持のために必要と考えられる。
ISSN:1344-1213
2186-1277
DOI:10.5891/jafps.39.3