日本産ミドリシャミセンガイとウスバシャミセンガイ(腕足動物門:舌殻綱)の分類学的再検討

日本周辺海域より得られたミドリシャミセンガイLingula anatina Lamarck,1801,および,ウスバシャミセンガイLingula reevii Davidson,1880の外部形態,殻構造,分子生物学的な比較検討を行った。試料は奄美大島より得られたミドリシャミセンガイ,および,有明海より得られたウスバシャミセンガイを用いた。これら2種類は,殻の形態および,生時の肉茎の色彩により外部形態で明瞭に区分される。ミドリシャミセンガイの殻には,ウスバシャミセンガイの殻に比べ,硫黄(S),フッ素(F),鉄(Fe)が多く含まれている。一方,ウスバシャミセンガイの殻には,リン(P),カルシウム...

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Veröffentlicht in:生物圏科学 2012-12 (51), p.27-35
Hauptverfasser: 倉持, 卓司, 厚井, 晶子, 柏原, 克彦, 長沼, 毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日本周辺海域より得られたミドリシャミセンガイLingula anatina Lamarck,1801,および,ウスバシャミセンガイLingula reevii Davidson,1880の外部形態,殻構造,分子生物学的な比較検討を行った。試料は奄美大島より得られたミドリシャミセンガイ,および,有明海より得られたウスバシャミセンガイを用いた。これら2種類は,殻の形態および,生時の肉茎の色彩により外部形態で明瞭に区分される。ミドリシャミセンガイの殻には,ウスバシャミセンガイの殻に比べ,硫黄(S),フッ素(F),鉄(Fe)が多く含まれている。一方,ウスバシャミセンガイの殻には,リン(P),カルシウム(Ca),マンガン(Mn),マグネシウム(Mg)が,ミドリシャミセンガイの殻よりも多く含まれていた。また,両種の殻に見られるリン酸カルシウム層の間の有機質部分に,特徴的に臭素(Br)とヨウ素(I)が検出され,それぞれ臭素(Br)はウスバシャミセンガイに多く,ヨウ素(I)はミドリシャミセンガイに多く検出された。また,ミドリシャミセンガイ(奄美大島産)とウスバシャミセンガイ(有明海産)の18SrRNA遺伝子の塩基配列を比較した両種は異なるクレードに属することがわかり,両種は分子系統的にも離れた分類群として扱われるべきであることが示唆された。
ISSN:1348-1371