日本に定着したトガリアメンボの周年経過と卵休眠

トガリアメンボは和歌山県北部および大阪府南部において卵態で越冬することを明らかにした。当該地域において,本種の成虫は一般に6月上旬から11月下旬まで水面上で活動し,10月以降には休眠卵を産出した。野外で越冬した卵の孵化時期は不斉一であり,翌年の4月下旬から5月中旬に孵化した。休眠卵は1か月以上の5℃暴露および2時間の-5℃暴露に耐性を有していた。非休眠卵の卵期間は20℃で約27日,25℃で約19日,28℃で約15日であり,発育は斉一であった。幼虫期間は日長と無関係で、20℃で約62日,25℃で約38日,28℃で約32日であった。有翅型成虫は6月から11月まで出現した。野外における本種の産卵基質...

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Veröffentlicht in:京都府立大学学術報告. 生命環境学 2010-12 (62), p.1-12
Hauptverfasser: 中尾, 史郎, 前田, 輝久, 山尾, あゆみ
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:トガリアメンボは和歌山県北部および大阪府南部において卵態で越冬することを明らかにした。当該地域において,本種の成虫は一般に6月上旬から11月下旬まで水面上で活動し,10月以降には休眠卵を産出した。野外で越冬した卵の孵化時期は不斉一であり,翌年の4月下旬から5月中旬に孵化した。休眠卵は1か月以上の5℃暴露および2時間の-5℃暴露に耐性を有していた。非休眠卵の卵期間は20℃で約27日,25℃で約19日,28℃で約15日であり,発育は斉一であった。幼虫期間は日長と無関係で、20℃で約62日,25℃で約38日,28℃で約32日であった。有翅型成虫は6月から11月まで出現した。野外における本種の産卵基質には水面上に浮遊する植物片が利用されており,樹皮断片,および長さ35mm以下で直径2~4mmの枝片に特に多く産卵されることが明らかになった。また,室内では,一部の卵は産卵基質に挿入されず水中に放出された。これらにも正常に発育して水中から孵化するもののあることを認めた。
ISSN:1882-6946