アスパラガス全期立茎栽培における“母茎地際押し倒し法”が収量と収穫作業性に及ぼす影響

アスパラガス全期立茎栽培において,母茎とする若茎を畝の片側へ押し倒して立茎し,母茎の群落位置と収穫位置を分離する栽培法(母茎地際押し倒し法)を考案した.本法は作業通路の確保を目的として,隣り合う2畝の母茎を向かい合わせに押し倒すため,母茎群落内が込み合い,群落内の相対積算日射量が減少した.また,収量は慣行の立茎を行った慣行区の76.5%であった.この改善策として,母茎を地際から畝の片側へ押し倒して立茎させた後,垂直位置に対して30°の角度で株元方向へ誘引することで,畝間中央部の畝面から100 cm以上の高さの相対積算日射量が慣行区と同等となり,夏芽の収量は92.9%,春芽収量を含む年間収量は9...

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Veröffentlicht in:Engeigaku kenkyuu 2011, Vol.10(3), pp.375-382
Hauptverfasser: 坂本, 隆行, 越智, 資泰, 田中, 昭夫, 今井, 俊治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:アスパラガス全期立茎栽培において,母茎とする若茎を畝の片側へ押し倒して立茎し,母茎の群落位置と収穫位置を分離する栽培法(母茎地際押し倒し法)を考案した.本法は作業通路の確保を目的として,隣り合う2畝の母茎を向かい合わせに押し倒すため,母茎群落内が込み合い,群落内の相対積算日射量が減少した.また,収量は慣行の立茎を行った慣行区の76.5%であった.この改善策として,母茎を地際から畝の片側へ押し倒して立茎させた後,垂直位置に対して30°の角度で株元方向へ誘引することで,畝間中央部の畝面から100 cm以上の高さの相対積算日射量が慣行区と同等となり,夏芽の収量は92.9%,春芽収量を含む年間収量は96.1%となった.また,母茎地際押し倒し法により,母茎群落内へもぐり込む姿勢で収穫した若茎の割合を5分の1に軽減し,作業時間を24%短縮できた.さらに,OWAS法による作業性評価において,“ただちに改善すべき姿勢(AC4)”の出現頻度が減少した.以上の結果から,アスパラガスの“母茎地際押し倒し法”は,収穫における作業性の改善に有効であることが示された.課題として,慣行の立茎栽培に比べて畝間の群落内が込み合うため,寡日照による減収の可能性があること,防除作業環境の改善が必要であることが挙げられ,今後の検討が必要である.
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.10.375