神奈川県丹沢地域における2009年夏季のオキシダント濃度分布観測
神奈川県北西部に位置する丹沢山地の主稜線部においてブナやモミなどの森林衰退が懸念されている。この要因として光化学オキシダントが重要であると考え、本研究では、丹沢地域において光化学オキシダントが高濃度となる機構を明らかにすることを目的とし、2009年7月31日から8月12日(うち8月6日から8日までが集中観測期間)に丹沢地域におけるオキシダント濃度分布の詳細な観測をおこなった。丹沢山を中心としその周辺の地域に測定点を設置し、オゾン濃度と粒子状汚染物質の定点観測、およびエアロゾルの成分分析、車載測器によるオゾン濃度の移動観測、ゾンデによるオゾン濃度及び気象要素の上空観測、パイロットバルーン観測をお...
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Veröffentlicht in: | 愛媛大学農学部紀要 = Memoirs of the College of Agriculture, Ehime University Ehime University, 2010-10, Vol.55, p.7-23 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 神奈川県北西部に位置する丹沢山地の主稜線部においてブナやモミなどの森林衰退が懸念されている。この要因として光化学オキシダントが重要であると考え、本研究では、丹沢地域において光化学オキシダントが高濃度となる機構を明らかにすることを目的とし、2009年7月31日から8月12日(うち8月6日から8日までが集中観測期間)に丹沢地域におけるオキシダント濃度分布の詳細な観測をおこなった。丹沢山を中心としその周辺の地域に測定点を設置し、オゾン濃度と粒子状汚染物質の定点観測、およびエアロゾルの成分分析、車載測器によるオゾン濃度の移動観測、ゾンデによるオゾン濃度及び気象要素の上空観測、パイロットバルーン観測をおこなった。観測期間中は台風と前線の影響により風が強く、全般にわたって大気汚染物質濃度は低かった。オゾン濃度は前半の期間に濃度上昇し、パーティクルカウンタおよびエアロゾルの分析結果などから、この期間は移流の影響によりオゾン濃度が上昇したと考えられた。一方期間後半は、強風により海塩粒子由来の粒子状物質濃度の上昇がみられた。立体観測の結果より、山岳地域におけるオゾン濃度は標高により異なった挙動を示し、都市域との距離が要因で濃度が変化することが示された。また、上空のオゾン観測から、上空では気象条件による濃度変化が顕著であるのに対し、地上の濃度は必ずしも上空濃度と一致せず、汚染が滞留する混合層内部においては、地域ごとの他の汚染物質の影響や、地形による気象要因が反映されることで、様々なオゾン濃度分布を示すという結果が得られた。また、混合層の上部に移流する汚染については、中距離移流の可能性が示唆され、大陸からの長距離輸送と共にこれらの寄与について、今後詳細な検討をおこなっていく予定である。 |
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ISSN: | 0424-6829 |