岩手県のホタテガイ天然採苗個体群間における産卵期の差異

ホタテガイ交配種苗を岩手県沿岸で養成し、生殖巣指数により産卵状況を調べた。その結果、産卵は、相対的に北海道日本海産種苗を親貝とする交配区で遅く、岩手県産種苗を親貝とする交配区で早く、北海道日本海産種苗と岩手県産種苗の交雑区ではその中間であった。岩手県沿岸産の天然採苗種苗の産卵について、付着時期別に検討した。その結果、産卵は、付着期の前半に付着した種苗は相対的に早く、付着期の後半に付着した種苗は遅い傾向にあった。アロザイム遺伝子を標識とし、天然採苗種苗の遺伝的類縁関係を推定したところ、付着期の前半に付着した種苗は東北地方産の貝に、付着期の後半に付着した種苗は北海道産の貝に遺伝的に近い関係を示した...

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Veröffentlicht in:Suisan Zoshoku 2011-06, Vol.59 (2), p.215-223
Hauptverfasser: 野呂, 忠勝, 高橋, 禎, 久慈, 康支, 五嶋, 聖治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ホタテガイ交配種苗を岩手県沿岸で養成し、生殖巣指数により産卵状況を調べた。その結果、産卵は、相対的に北海道日本海産種苗を親貝とする交配区で遅く、岩手県産種苗を親貝とする交配区で早く、北海道日本海産種苗と岩手県産種苗の交雑区ではその中間であった。岩手県沿岸産の天然採苗種苗の産卵について、付着時期別に検討した。その結果、産卵は、付着期の前半に付着した種苗は相対的に早く、付着期の後半に付着した種苗は遅い傾向にあった。アロザイム遺伝子を標識とし、天然採苗種苗の遺伝的類縁関係を推定したところ、付着期の前半に付着した種苗は東北地方産の貝に、付着期の後半に付着した種苗は北海道産の貝に遺伝的に近い関係を示した。これらのことは、産卵に関する形質は強い遺伝的支配を受けており、岩手県沿岸産の天然採苗種苗に見られる付着時期による産卵期の差異は、主に遺伝的要因に起因していることを示している。
ISSN:0371-4217