近畿大学奈良キャンパスにおける野鳥類の環境別群集構造
近畿大学奈良キャンパスは奈良市郊外の矢田丘陵にあり、里山林、草地、湿地、ため池、沢、グラウンド、校舎などさまざまな環境から構成されている。こうした環境からキャンパス内には、絶滅危惧種を含む数多くの生物が生息し、生物多様性に非常に富んでいる。しかし、これまでの野鳥類調査はキャンパス内の一部の区域でしか進んでおらず、環境ごとに調査地を区分していなかったため、どの種がどの様な環境下で記録されたかも不明確であった。本調査は調査地をAコースとEコースの2つの地域に拡大するとともに、次のように環境ごとに8ヶ所に区分して野鳥を記録した。Aコース:A池、林内、農耕地、校舎a。Eコース:E池、東グラウンド、西グ...
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Veröffentlicht in: | 近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University 2010-03 (43), p.47-74 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近畿大学奈良キャンパスは奈良市郊外の矢田丘陵にあり、里山林、草地、湿地、ため池、沢、グラウンド、校舎などさまざまな環境から構成されている。こうした環境からキャンパス内には、絶滅危惧種を含む数多くの生物が生息し、生物多様性に非常に富んでいる。しかし、これまでの野鳥類調査はキャンパス内の一部の区域でしか進んでおらず、環境ごとに調査地を区分していなかったため、どの種がどの様な環境下で記録されたかも不明確であった。本調査は調査地をAコースとEコースの2つの地域に拡大するとともに、次のように環境ごとに8ヶ所に区分して野鳥を記録した。Aコース:A池、林内、農耕地、校舎a。Eコース:E池、東グラウンド、西グラウンド、校舎e。今回の調査で、近畿大学奈良キャンパスにおいて28科62種5958個体の野鳥が記録された。このうち、ヨシガモ、ツツドリ、トラツグミ、センダイムシクイなどの奈良県版レッドリスト種は生息数だけでなく、生息している環境も少ない傾向が見られた。今回の調査結果から当キャンパスにおいて野鳥類は、林縁部やため池周りの環境において多様度が高くなることが示唆された。また、スズメなど一部の種は餌などの確保を目的に、冬季など季節によってキャンパス内で移動を行っている可能性が考えられた。当キャンパスの野鳥類の調査は10年以上継続されており、生息している種もかなり把握できつつある。こうした長期の調査結果から今後、各環境での鳥類群集の変化に注目した報告が期待される。野鳥類を始め多くの生物が生息できる環境維持を目指した更なる調査、研究が強く望まれる。 |
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ISSN: | 0453-8889 |