日本における森林生態系の物質循環と森林施業との関わり

日本の森林生態系における物質循環と森林施業の関わりについて, 既往研究をレビューした。これまで, 森林伐採が物質循環や水質形成に及ぼす影響については, 伐採後に樹木の養分吸収が低下することによって, 河川へ硝酸態窒素が溶脱することが示されてきた。一方, 北海道北部における伐採後の林床植生による窒素養分吸収や, 関東北部での火山灰土壌における硝酸吸着, 流域水文過程に伴う河川水質変化など, 日本における特色あるプロセスについて報告されている。また, 急傾斜地における森林施業の結果として斜面崩壊が生じることで, 流域生態系の水文・水質形成過程が影響されることも示唆された。さらに, 河畔緩衝域での窒...

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Veröffentlicht in:Nihon Shinrin Gakkaishi 2009, Vol.91(6), pp.408-420
Hauptverfasser: 柴田, 英昭, 戸田, 浩人, 福島, 慶太郎, 谷尾, 陽一, 高橋, 輝昌, 吉田, 俊也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:日本の森林生態系における物質循環と森林施業の関わりについて, 既往研究をレビューした。これまで, 森林伐採が物質循環や水質形成に及ぼす影響については, 伐採後に樹木の養分吸収が低下することによって, 河川へ硝酸態窒素が溶脱することが示されてきた。一方, 北海道北部における伐採後の林床植生による窒素養分吸収や, 関東北部での火山灰土壌における硝酸吸着, 流域水文過程に伴う河川水質変化など, 日本における特色あるプロセスについて報告されている。また, 急傾斜地における森林施業の結果として斜面崩壊が生じることで, 流域生態系の水文・水質形成過程が影響されることも示唆された。さらに, 河畔緩衝域での窒素除去, 河川流路内での栄養塩スパイラル, 里山における森林管理と物質循環変化など, 生態系境界域での研究が重要であることが指摘されている。今後は, 地域ごとの特性を考慮に入るとともに, 施業影響下での物質循環モデルのパラメタリゼーションなどをさらに推し進めることが重要である。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.91.408