中国神農架林区における森林と人間の関係の展開構造 : 政府による林区開発の歴史的変遷

本研究は中国のエコツーリズム発祥地である神農架林区を事例にとり,その成立・展開過程に対して考察を加え,林区の林業・森林利用の展開の各段階の政策と特徴を把握し,林業の展開が地元住民に与えた影響を明らかにすることを研究課題としている。その結果,神農架林区の林業は粗放的な開発段階,転換初期段階,保護と開発のせめぎ合いの段階,持続可能な発展段階への展望が見え始める段階へと転換した。その4段階の展開によって,地元住民の生産・生活様式の変化,生活環境の改善,収入の増加,就業機会の増加,住民の自然環境保護に対する意識の向上,産業構造の調整がもたらされた。地域の持続的な発展を可能とするためには,原生林採取林業...

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Veröffentlicht in:Japanese Journal Of Forest Planning 2009/01/30, Vol.42(1), pp.43-52
Hauptverfasser: 胡, 蝶, 小池, 正雄, 姚, 彤
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究は中国のエコツーリズム発祥地である神農架林区を事例にとり,その成立・展開過程に対して考察を加え,林区の林業・森林利用の展開の各段階の政策と特徴を把握し,林業の展開が地元住民に与えた影響を明らかにすることを研究課題としている。その結果,神農架林区の林業は粗放的な開発段階,転換初期段階,保護と開発のせめぎ合いの段階,持続可能な発展段階への展望が見え始める段階へと転換した。その4段階の展開によって,地元住民の生産・生活様式の変化,生活環境の改善,収入の増加,就業機会の増加,住民の自然環境保護に対する意識の向上,産業構造の調整がもたらされた。地域の持続的な発展を可能とするためには,原生林採取林業を基盤とした一過的な持続可能性を持たない経済段階から,生態環境の保護・改善を基礎とした経済発展による地域に根ざした持続的展開を可能とする段階へと展開していくべきであり,神農架林区においては,その展開途上にあると言えよう。
ISSN:0917-2017
2189-8308
DOI:10.20659/jjfp.42.1_43