放牧牛がブナ林内ササ植生中のスギ稚樹の生残と生育に及ぼす影響
放牧牛がチシマザサ(以下,ササとする)優占植生中のスギ稚樹の生残に及ぼす影響を調べた。放牧共用林野内のスギ人工林に隣接するブナ林の空隙地に,禁牧区と放牧区を設定し,両区で放牧牛がササの生育,およびスギ稚樹の光環境,生残と樹高伸長に及ぼす影響を5年間比較した。禁牧区では,ササの被度と高さは急増して相対光量子束密度は低下し,スギ稚樹の生存率は禁牧3年目で急減した。一方,放牧区では,ササは採食されて生育が抑制されたため,良好な光環境が維持され,スギ稚樹の生存率と樹高伸長量は相対的に高く保たれた。放牧牛によるスギ稚樹の採食は稀で,踏圧や排糞による影響も軽微であった。放牧牛はササに対しては撹乱要因として...
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Veröffentlicht in: | Nippon Sōchi Gakkaishi 2009/07/15, Vol.55(2), pp.132-140 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 放牧牛がチシマザサ(以下,ササとする)優占植生中のスギ稚樹の生残に及ぼす影響を調べた。放牧共用林野内のスギ人工林に隣接するブナ林の空隙地に,禁牧区と放牧区を設定し,両区で放牧牛がササの生育,およびスギ稚樹の光環境,生残と樹高伸長に及ぼす影響を5年間比較した。禁牧区では,ササの被度と高さは急増して相対光量子束密度は低下し,スギ稚樹の生存率は禁牧3年目で急減した。一方,放牧区では,ササは採食されて生育が抑制されたため,良好な光環境が維持され,スギ稚樹の生存率と樹高伸長量は相対的に高く保たれた。放牧牛によるスギ稚樹の採食は稀で,踏圧や排糞による影響も軽微であった。放牧牛はササに対しては撹乱要因として作用したが,スギ稚樹に対しては作用しなかったため,ササに対する選択的生物撹乱要因と言える。スギの更新の成否は,ササが同所的に分布するブナ林床では,放牧牛の採食圧に強く依存する。 |
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ISSN: | 0447-5933 2188-6555 |
DOI: | 10.14941/grass.55.132 |