閉鎖循環式飼育システムにおけるクルマエビの交尾行動試験

飼育水浄化に泡沫分離プロセスを導入したクルマエビ用の閉鎖循環式飼育システムを利用して、限られた省スペース空間(飼育水槽1.1m2)に雌雄のクルマエビ成体を放養し、交尾行動試験を実施した。試験に供した雄雌のクルマエビ(雌エビは交尾栓未保有)は、リアルタイムLAMP法によってWSDV陰性と判定された個体群から選抜した。交尾行動については、雌エビの腹面を観察し、交尾した際に形成される交尾栓の保有で判定した。飼育水の重要項目である溶存酸素は、酸素飽和度99%に維持され、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素は0.2mg-N/l以下の極低濃度レベルに保持された。泡沫分離装置からは、濁質、色度成分、有機物質および...

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Veröffentlicht in:Suisan Zoshoku 2008-12, Vol.56 (4), p.479-485
Hauptverfasser: 鈴木, 祥広, 鈴木, 孝彦, 鷺巣, 勇士, 米加田, 徹, 河野, 智哉, 越塩, 俊介, 横山, 佐一郎, 酒井, 正博, 伊丹, 利明
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:飼育水浄化に泡沫分離プロセスを導入したクルマエビ用の閉鎖循環式飼育システムを利用して、限られた省スペース空間(飼育水槽1.1m2)に雌雄のクルマエビ成体を放養し、交尾行動試験を実施した。試験に供した雄雌のクルマエビ(雌エビは交尾栓未保有)は、リアルタイムLAMP法によってWSDV陰性と判定された個体群から選抜した。交尾行動については、雌エビの腹面を観察し、交尾した際に形成される交尾栓の保有で判定した。飼育水の重要項目である溶存酸素は、酸素飽和度99%に維持され、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素は0.2mg-N/l以下の極低濃度レベルに保持された。泡沫分離装置からは、濁質、色度成分、有機物質およびタンパク質および細菌を極めて高濃度に濃縮した泡沫が発生し、消泡して液体(泡沫分離液)となって回収された。本システムは、配合飼料と冷凍ゴカイのいずれを給餌した場合においても、飼育水を極めて良好な水質に制御できた。このような飼育環境において、試験を開始してから1〜2ヶ月以内に、雌エビの個体群の40%が交尾栓を保有した。なお、試験期間(105日)を通して、放養したすべての個体は生残し(生残率100%)、摂餌活性も良好であった。また、試験終了後にウイルス検査したエビは、すべてWSDV陰性であった。小規模の完全閉鎖系環境において、ウイルスフリーの交尾済みの雌エビすなわち親エビとなりうる個体を獲得できることが実証された。
ISSN:0371-4217
DOI:10.11233/aquaculturesci.56.479