北海道網走東部地域における火砕流堆積物に含まれるアパタイトリン酸の評価とその農業利用
北海道網走地域では、ほぼ全域に火山放出物である屈斜路火砕流堆積物が分布している。同地域において、大規模畑作圃場の多くが、基盤整備事業において均平化のための地形修正を受けた結果、作土下にこの火砕流堆積物からなる下層土を持つことが知られている。この火砕流層は、作物根の下層土への発達を阻害するため生産性を向上する上で問題となっている。しかし一方で、火山放出物の多くはリン鉱物であるアパタイトを含むことから、この火砕流層は潜在的なリン資源としても期待できる。そこで、網走市東部の地形修正を受けた圃場、および同地域内の自然林下から採取された火砕流堆積物について、リン酸の化学形態を調査し、リン資源としての評価...
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Veröffentlicht in: | Tokyo Nōgyō Daigaku nōgaku shūhō 2008-12, Vol.53 (3), p.200-208 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 北海道網走地域では、ほぼ全域に火山放出物である屈斜路火砕流堆積物が分布している。同地域において、大規模畑作圃場の多くが、基盤整備事業において均平化のための地形修正を受けた結果、作土下にこの火砕流堆積物からなる下層土を持つことが知られている。この火砕流層は、作物根の下層土への発達を阻害するため生産性を向上する上で問題となっている。しかし一方で、火山放出物の多くはリン鉱物であるアパタイトを含むことから、この火砕流層は潜在的なリン資源としても期待できる。そこで、網走市東部の地形修正を受けた圃場、および同地域内の自然林下から採取された火砕流堆積物について、リン酸の化学形態を調査し、リン資源としての評価を行なった。同時に、圃場においてこの火砕流層と作土とを全層混合することにより、リン酸肥沃度を向上しうるかについて、テンサイ栽培試験により検討した。その結果、網走地域の火砕流堆積物中にはアパタイト形態のリン酸が400-1000 mg P2O5/kg程度含まれ、このうち70-170 mg P2O5/kg程度が可給態リン酸として評価された。このリン酸量は北海道のリン酸肥沃度改良目標値に匹敵する。この火砕流層を作土と全層混合することにより、テンサイのリン酸吸収量は50%増加し、糖収量も30%増加したことから、網走地域の火砕流堆積物は農業上有用なリン資源として活用できると考えられる。 |
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ISSN: | 0375-9202 |