減圧含浸技術を用いた炊飯崩壊粒発生の抑制

本研究は、減圧含浸処理に温水浸漬処理とテンパリング処理を組み合わせて低水分白米に施し、炊飯崩壊粒の発生を抑制することを目的とした。まず、浸漬後の白米を裂傷の有無および裂傷の方向別に分類して炊飯した際の炊飯米の形状別の構成割合を測定した。その結果、横割れ炊飯粒および縦割れ炊飯粒の多くは水浸裂傷粒から発生し、また、扁平炊飯粒は、炊飯直前の米粒中心部における水分不足によって炊飯時に米粒部位による膨潤率の差が生じ、変形を引き起こしたものと推察された。次に、減圧含浸処理に温水浸漬およびテンパリングを組み合わせて低水分白米を調製した後、炊飯して得られた炊飯米の形状別の構成割合を測定した。その結果、テンパリ...

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Veröffentlicht in:九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 2009-02, Vol.64 (1), p.45-53
Hauptverfasser: 冨澤, 秀生, 源川, 拓磨, 内野, 敏剛, 田中, 史彦, 濱中, 大介, 佐藤, はるか
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究は、減圧含浸処理に温水浸漬処理とテンパリング処理を組み合わせて低水分白米に施し、炊飯崩壊粒の発生を抑制することを目的とした。まず、浸漬後の白米を裂傷の有無および裂傷の方向別に分類して炊飯した際の炊飯米の形状別の構成割合を測定した。その結果、横割れ炊飯粒および縦割れ炊飯粒の多くは水浸裂傷粒から発生し、また、扁平炊飯粒は、炊飯直前の米粒中心部における水分不足によって炊飯時に米粒部位による膨潤率の差が生じ、変形を引き起こしたものと推察された。次に、減圧含浸処理に温水浸漬およびテンパリングを組み合わせて低水分白米を調製した後、炊飯して得られた炊飯米の形状別の構成割合を測定した。その結果、テンパリング処理は扁平炊飯粒の抑制効果があり、また、減圧含浸と温水浸漬の組み合わせ処理により横割れ炊飯粒および縦割れ炊飯粒の抑制効果が見られた。最後に、低水分米にそれぞれの処理を施した後の炊飯米の硬さおよび粘りを測定し、バランス度を算出した。その結果、食味と正の相関があるバランス度が、最も高い値を示したのはテンパリング区であったことから、テンパリング処理は低水分米の食味低下を抑制する効果が認められた。これらの結果から、炊飯米の形状および食味に関し、テンパリング区が最も良好な結果を得た。今後は、テンパリング処理の最適処理条件の究明および形態学的なアプローチによる扁平炊飯粒の発生機構の解明を行う予定である。
ISSN:1347-0159