北海道東部当幌川湿原における水生無脊椎動物相

当幌川湿原における水生無脊椎動物相の特徴を明らかにするために,2005年5月及び2006年6月に,湿原域,泥炭採掘跡地及び当幌川から水生無脊椎動物を採集した。その結果,本調査地から83分類群の水生無脊椎動物が確認された。そのうち,北方系の種はイグチモノアラガイRadix auricularia (Linnaeus),オオマルハラダニOxus magnus Sokolow,ヨツボシトンボLibellula quadrimaculata asahinai Schmidt,サハリントビケラAsynarchus sachalinensis Martynov及びゲンゴロウモドキDytiscus daur...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Rikusuigaku zasshi 2008, Vol.69(2), pp.143-153
Hauptverfasser: 宮口, 英夫, 勝浦, 雅士, 山本, 龍太, 平林, 貴志, 伴, 修平, 戸田, 龍樹, 山本, 英夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:当幌川湿原における水生無脊椎動物相の特徴を明らかにするために,2005年5月及び2006年6月に,湿原域,泥炭採掘跡地及び当幌川から水生無脊椎動物を採集した。その結果,本調査地から83分類群の水生無脊椎動物が確認された。そのうち,北方系の種はイグチモノアラガイRadix auricularia (Linnaeus),オオマルハラダニOxus magnus Sokolow,ヨツボシトンボLibellula quadrimaculata asahinai Schmidt,サハリントビケラAsynarchus sachalinensis Martynov及びゲンゴロウモドキDytiscus dauricus Geblerの5種,南方系の種はヒラマキガイモドキPolypylis hemisphaerula (Benson),シオカラトンボOrthetrum albistylum speciosum (Uhler),キベリクロヒメゲンゴロウIlybius apicalis Sharp及びシジミガムシNakane Laccobius bedeli Sharpの4種であった。トンボ目の北方系の種の割合及びコウチュウ目の北海道以北種の割合は,北海道東部に位置する他の湿原と類似した。これらのことから,当幌川湿原は,北海道東部に位置する他の湿原と同様に,北方系の種の生息を許容することが示唆された。また,北方系の種は,比較的水温が低い泥炭採掘跡地に生息していたのに対して,南方系の種は,比較的水温が高い湿原域の一部にも生息していた。したがって,当幌川湿原では,水温の大きな空間的な差が,北方系と南方系の水生無脊椎動物の共存を可能にする主な要因であると考えられる。
ISSN:0021-5104
1882-4897
DOI:10.3739/rikusui.69.143