枯枝におけるカンキツ黒点病菌の増殖に及ぼす微生物構成の影響
1.静岡県ではカンキツ黒点病防除は通常、年間4回を必要としている。しかし、年間2回の防除で本病の発生を低く抑えている圃場が静岡県東部の沼津市西浦地域で認められている。これら東部少発生圃場と中部防除圃場、無防除圃場を供試し、枯枝上の糸状菌類の種構成を調査するとともに、カンキツ黒点病菌への競合作用を検討した。2.各供試圃場で緑枝を剪定し樹冠内に放置し、1年後に回収された枯枝からは、東部少発生圃場の江梨、久連では9種類の糸状菌が分離され、中部防除圃場である麻機、庵原と明らかに菌の種構成は異なり、無防除圃場の駒越と共通する傾向がみられた。3.東部少発生圃場では、中部防除圃場で分離されなかったColle...
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Veröffentlicht in: | 静岡県農林技術研究所研究報告 = Bulletin of the Shizuoka Research Institute of Agriculture and Forestry 2008-03 (1), p.65-70 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1.静岡県ではカンキツ黒点病防除は通常、年間4回を必要としている。しかし、年間2回の防除で本病の発生を低く抑えている圃場が静岡県東部の沼津市西浦地域で認められている。これら東部少発生圃場と中部防除圃場、無防除圃場を供試し、枯枝上の糸状菌類の種構成を調査するとともに、カンキツ黒点病菌への競合作用を検討した。2.各供試圃場で緑枝を剪定し樹冠内に放置し、1年後に回収された枯枝からは、東部少発生圃場の江梨、久連では9種類の糸状菌が分離され、中部防除圃場である麻機、庵原と明らかに菌の種構成は異なり、無防除圃場の駒越と共通する傾向がみられた。3.東部少発生圃場では、中部防除圃場で分離されなかったColletotrichum属菌が分離され、この菌は滅菌枯枝上での黒点病菌胞子角形成を阻害する働きが強かった。東部少発生圃場で共通して分離された糸状菌類3種、SB、SC、SD菌についても同様に、滅菌枯枝での黒点病菌の胞子角形成を強く阻害した。これら菌は中部防除圃場からはほとんど分離されなかった。4.中部防除圃場の麻機では、全ての圃場で共通して分離されたSE菌1種類のみしか分離されなかった。本菌の滅菌枯枝での胞子角形成阻止率能力は東部少発生圃場から高率に分離された菌と比べやや低かった。5.中部防除圃場の庵原は11種類の菌が分離されたが、菌種構成、各菌の分離率は東部とは異なった。分離率が最も高かったID菌は、滅菌枯枝上での黒点病菌の胞子角の形成阻止能力は東部少発生圃場から高率に分離された菌と比べやや低かった。6.以上の結果から、黒点病少発生の要因として枯枝における糸状菌の種構成およびこれらの糸状菌の黒点病菌に対する競合性が重要と考えられた。 |
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ISSN: | 1882-8264 |