ラット小腸パイエル板濾胞被蓋上皮への常在細菌の接着に対する上皮細胞の応答に関する超微形態学的研究

常在細菌の細胞膜への接着に対する上皮細胞の応答をラット小腸パイエル板濾胞被蓋上皮(FAE)で超微形態学的に観察した。その結果、形態学的に異なる様々な常在細菌による上皮細胞の細胞膜への高頻度の接着がFAEの頂部でみとめられた。常在細菌と上皮細胞との接着部位は深く陥入するとともに、その底部は細く尖っていた。この陥入部を取り囲むように細胞膜直下側には微細線維によって電子密度の異なる4つの層が形成されていた。各層の電子密度は陥入部位から遠ざかるにつれて減弱した。陥入部位にあるいくつかの細菌の先端の細胞壁は細く変形していた。また、細菌の先端は陥入部位中で時として溶解しており、その細胞質は軽度に膨化して電...

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Veröffentlicht in:Journal of veterinary medical science 2008-03, Vol.70 (3), p.235-241
Hauptverfasser: 稲元, 哲朗, 川田, 悠子, 斉, 旺梅, 山本, 健吉, 割田, 克彦, 河野, 潤一, 横山, 俊史, 星, 信彦, 北川, 浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:常在細菌の細胞膜への接着に対する上皮細胞の応答をラット小腸パイエル板濾胞被蓋上皮(FAE)で超微形態学的に観察した。その結果、形態学的に異なる様々な常在細菌による上皮細胞の細胞膜への高頻度の接着がFAEの頂部でみとめられた。常在細菌と上皮細胞との接着部位は深く陥入するとともに、その底部は細く尖っていた。この陥入部を取り囲むように細胞膜直下側には微細線維によって電子密度の異なる4つの層が形成されていた。各層の電子密度は陥入部位から遠ざかるにつれて減弱した。陥入部位にあるいくつかの細菌の先端の細胞壁は細く変形していた。また、細菌の先端は陥入部位中で時として溶解しており、その細胞質は軽度に膨化して電子密度が低くなっていた。いくつかの陥入部位では、接着した細菌が線維状の残渣のような細菌の断片や細胞壁の一部を残して排除されていた。FAEの中部に細菌のコロニーが存在する場合には、接着した細菌はM細胞に取り込まれていた。細胞基質が高電子密度の物質と低電子密度の物質に分離した変性細菌が、FAE全域で一般の微絨毛円柱上皮細胞内や杯細胞内に取り込まれていた。これらのことから、ラットのパイエル板では、上皮細胞は生きた常在細菌の接着を拒絶し、M細胞は常在細菌を取り込むことが示唆された。
ISSN:0916-7250