エストロジェン類による環境汚染のバイオマーカー,クサガメのビテロジェニン : アミノ酸配列の相同性の比較とエストロジェン曝露後のmRNA発現

エストロジェン活性物質による環境汚染の程度を示すバイオマーカーであるビテロジェニン(VTG)は、汚染物質の曝露後、形態や機能に異常が見られる前に卵生動物の血液中に出現する。カメ類のビテロジェニンに関する報告は限られている。そこでクサガメ(Chinemys reevessi)VTGのcDNAをクローニングし、塩基配列を調べた。クサガメVTGの部分cDNA断片は5’端に開始コドンを持った2,229bpで、743個のアミノ酸をコードしていた。VTGの一部分を構成するフォスビチンは高いセリン含有量を特徴とするが、今回クローニングしたcDNA断片の推定アミノ酸配列にはそのような部分はなく、クローニングさ...

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Veröffentlicht in:Journal of veterinary medical science 2008-03, Vol.70 (3), p.227-234
Hauptverfasser: 多田, 哲子, 中尾, 亜矢, 星, 英之, 坂, 雅宏, 鎌田, 洋一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:エストロジェン活性物質による環境汚染の程度を示すバイオマーカーであるビテロジェニン(VTG)は、汚染物質の曝露後、形態や機能に異常が見られる前に卵生動物の血液中に出現する。カメ類のビテロジェニンに関する報告は限られている。そこでクサガメ(Chinemys reevessi)VTGのcDNAをクローニングし、塩基配列を調べた。クサガメVTGの部分cDNA断片は5’端に開始コドンを持った2,229bpで、743個のアミノ酸をコードしていた。VTGの一部分を構成するフォスビチンは高いセリン含有量を特徴とするが、今回クローニングしたcDNA断片の推定アミノ酸配列にはそのような部分はなく、クローニングされなかった部位にフォスビチンがコードされると推察された。クサガメVTGのアミノ酸配列についてVTGの全配列が既知である2種の鳥類、1種の両生類、および5種の魚類のVTGのそれと相同性を比較した。クサガメVTGは類似性値として、セグロカモメ78%、ニワトリ76%、アフリカツメガエル69%、ウナギ63%、マダイ62%、タラ62%、コイ62%、ゼブラフィッシユ61%の相同性を示した。相同性解析図では、クサガメVTGは鳥類、魚類、および両生類VTGから独立し、両生類と鳥類の中間に位置していた。クサガメVTGの塩基配列から設計したプライマーを用いて、クサガメVTGのmRNA発現を検出できる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を開発した。mRNA発現産物(292bp)が、estradiol-17β曝露後の雄クサガメ肝臓から抽出したtotal RNA中に証明された。ここに示した成績は淡水性カメを用いる環境毒性学的研究に役立つとともに、野生動物の保護に貢献できる手段の1つになるだろう。
ISSN:0916-7250