イチョウ培養細胞におけるメナジオンによる細胞死の誘導
メナジオンは、多くの動物細胞及びいくつかの植物細胞においてアポトーシスを誘導することが知られている。本稿では、イチョウ懸濁培養細胞をメナジオン処理した際に観察されるアポトーシス様の細胞死について報告する。イチョウ懸濁培養細胞を300μM又は1000μMのメナジオンで処理することにより、細胞生存率の急速な低下が引き起こされるとともに、それらの細胞から抽出したDNAの電気泳動像が、アポトーシスの特徴のひとつであるラダー状のパターンを呈することが明らかになった。また、メナジオン処理の後数秒以内に細胞系中のスーパーオキサイドアニオン及び過酸化水素の濃度が上昇することが確認された。メナジオンによる細胞傷...
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Veröffentlicht in: | 東京大学農学部演習林報告 2007-12 (118), p.25-43 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | メナジオンは、多くの動物細胞及びいくつかの植物細胞においてアポトーシスを誘導することが知られている。本稿では、イチョウ懸濁培養細胞をメナジオン処理した際に観察されるアポトーシス様の細胞死について報告する。イチョウ懸濁培養細胞を300μM又は1000μMのメナジオンで処理することにより、細胞生存率の急速な低下が引き起こされるとともに、それらの細胞から抽出したDNAの電気泳動像が、アポトーシスの特徴のひとつであるラダー状のパターンを呈することが明らかになった。また、メナジオン処理の後数秒以内に細胞系中のスーパーオキサイドアニオン及び過酸化水素の濃度が上昇することが確認された。メナジオンによる細胞傷害に対する、既知のアポトーシス阻害剤の影響についても検討した。カタラーゼ、スーパーオキサイドディスムターゼ、及びカスパーゼ特異的阻害剤は細胞生存率の低下をほとんど抑制しなかった。サイクロスポリンAは、用量依存的にDNAの分解を軽減したが、細胞生存率の低下は抑制しなかった。サイクロスポリンAは免疫抑制剤であり、ミトコンドリアの機能障害を抑制する作用を持つことが知られている。これらの結果から、メナジオンはイチョウ培養細胞においてアポトーシス様の細胞死を誘導すること、及びメナジオン処理細胞での細胞の分解過程にミトコンドリアが関与している可能性があることが示された。 |
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ISSN: | 0371-6007 |