Oxalobaceraceae科細菌が生成する新規吸水性多糖の化学構造

カルボキシメチルセルロースが部分架橋により、粘稠性を示すことなく水を速やかに吸収する性質を発現した知見に基づき、同様の性質をもつ菌体外多糖を生産する細菌の検索を行った。このような多糖は安全性および生分解性の高い吸水性物質として農業あるいは食品分野への応用が期待できる。前報で、土壌より分離したOxalobacteraceae科細菌IM944株が吸水性多糖(粗WAP)を生成すること、そしてその精製多糖(WAP、吸水倍率120倍)の構成糖のモル比(マンノース:グルコース:ガラクトース=1:3:3)から新規であり、その示差走査熱量測定によって均質な多糖であることを報告した。本報では、WAPの化学構造を...

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Veröffentlicht in:Journal of applied glycoscience : JAG 2007-10, Vol.54 (4), p.203-209
Hauptverfasser: 小川, 和鋭, 池田, 洋子, 梅村, 一之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:カルボキシメチルセルロースが部分架橋により、粘稠性を示すことなく水を速やかに吸収する性質を発現した知見に基づき、同様の性質をもつ菌体外多糖を生産する細菌の検索を行った。このような多糖は安全性および生分解性の高い吸水性物質として農業あるいは食品分野への応用が期待できる。前報で、土壌より分離したOxalobacteraceae科細菌IM944株が吸水性多糖(粗WAP)を生成すること、そしてその精製多糖(WAP、吸水倍率120倍)の構成糖のモル比(マンノース:グルコース:ガラクトース=1:3:3)から新規であり、その示差走査熱量測定によって均質な多糖であることを報告した。本報では、WAPの化学構造を検討したので報告する。1)WAPを0.2Mトリフルオロ酢酸を用い、100℃2時間加熱して得た部分加水分解物を活性炭カラムクロマトグラフィーで分画し、各フラクションの溶出順序とペーパークロマトグラム上のスポットの移動度を基に、15種のオリゴ糖を含む12画分を得た。2)この画分をさらに調製ペーパークロマトグラフィーで、同一(1)H-NMRスペクトルをもつ区分に分画して15種のオリゴ糖を分離し、これをゲルろ過で精製し、同時に重合度を測定した。3)分離した各オリゴ糖は比旋光度、マススペクトルを測定後、(1)H-NMRおよび(13)C-NMRスペクトルを測定、DEPT、(1)H-(1)HCOSY、HMQC、HMBCの技法により化学シフトを帰属、解析して構造決定を行った。分離した15種のオリゴ糖のうち、6種の二糖は既知の化合物と同定し、4種の三糖、2種の四糖、2種の五糖と1種の六糖は新規オリゴ糖と結論した。4)これら15種のオリゴ糖の構造とWAPのメチル化分析の結果に基づいてWAPの繰り返し単位の化学構造を提出した。
ISSN:1344-7882