マーカー遺伝子を用いた微生物のモニタリング
平成16年に発効した「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)においては、組換え微生物等の特定微生物を産業利用しようとする際に、その安全性および生物多様性への影響を科学的に評価することが求められている。すなわち、バイオレメディエーションにおいても、組換え微生物を含む特定微生物や特定微生物の賦活化資材の導入による周辺の生態系への影響などを評価して安全性を確かめる必要がある。このような社会的背景を踏まえ、本研究では組換え微生物のバイオレメディエーション等の開放系利用における安全性評価に資するため、利用しようとする特定微生物をマーカー遺伝子により標識する技...
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Veröffentlicht in: | 環境科学会誌 = Environmental science 2007-09, Vol.20 (5), p.371-380 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 平成16年に発効した「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)においては、組換え微生物等の特定微生物を産業利用しようとする際に、その安全性および生物多様性への影響を科学的に評価することが求められている。すなわち、バイオレメディエーションにおいても、組換え微生物を含む特定微生物や特定微生物の賦活化資材の導入による周辺の生態系への影響などを評価して安全性を確かめる必要がある。このような社会的背景を踏まえ、本研究では組換え微生物のバイオレメディエーション等の開放系利用における安全性評価に資するため、利用しようとする特定微生物をマーカー遺伝子により標識する技術、および標識微生物が導入された環境の微生物相変化を定量的に解析する技術の開発を目的とした。マーカー遺伝子として蛍光顕微鏡下で目視観察が可能となる蛍光タンパク質遺伝子2種を選択し、環境汚染物質分解などの目的で利用しようとする微生物に導入した。このとき、染色体DNAにgfp、プラスミドDNAにdsredと異なる蛍光を使い分けることで、宿主とプラスミドDNAの両者を個別に検出することができる組換え微生物の構築に成功した。さらに特定機能遺伝子に対して、アミノ酸配列を変えずに自然界には存在しない配列のマーカー遺伝子を導入する技術も確立した。本技術により野生株の存在下でも特定の組換え微生物を定量的PCR等により検出することが可能であった。また、構築した組換え微生物をモデル複合微生物生態系としての活性汚泥に導入し、その消長を追跡した。その結果、定量的PCR法、PCR-DGGE法を用いることにより、導入した組換え微生物および微生物相を30日間にわたってモニタリングすることができた。本研究で開発した技術は組換え微生物の環境に及ぼす影響を評価する手法として有用であることが示された。 |
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ISSN: | 0915-0048 |