寒地水稲の湛水土中直播栽培における簡易有効積算気温による品種選定

寒地の北海道での落水出芽法による水稲の湛水土中直播(以下, 直播と記す)栽培において, 1999~2003年に, 早生品種の「ゆきまる」 および中生品種の「ほしのゆめ」 と「きらら397」 の3品種を供試して, 播種期と出穂期を, 19の市町村別に各品種, 延べ27~40ヵ所で調査した. それらをもとに, 北海道の移植作付け基準策定の方法により風速, 日照時間および水温の影響を加えた日最高気温と日最低気温から算出した日平均気温を用いて, 播種翌日から出穂期までの簡易有効積算気温を明らかにした. その簡易有効積算気温を用いて同5ヵ年の気象での出穂日を推定したところ, 実測値とほぼ一致した. 一方...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 2007, Vol.76(4), pp.591-599
Hauptverfasser: 丹野, 久, 田中, 英彦, 古原, 洋, 佐々木, 亮, 三浦, 周
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:寒地の北海道での落水出芽法による水稲の湛水土中直播(以下, 直播と記す)栽培において, 1999~2003年に, 早生品種の「ゆきまる」 および中生品種の「ほしのゆめ」 と「きらら397」 の3品種を供試して, 播種期と出穂期を, 19の市町村別に各品種, 延べ27~40ヵ所で調査した. それらをもとに, 北海道の移植作付け基準策定の方法により風速, 日照時間および水温の影響を加えた日最高気温と日最低気温から算出した日平均気温を用いて, 播種翌日から出穂期までの簡易有効積算気温を明らかにした. その簡易有効積算気温を用いて同5ヵ年の気象での出穂日を推定したところ, 実測値とほぼ一致した. 一方, 直播栽培の登熟日数については, 1997~2002年の4地域におけるほぼ同一の窒素施肥量での試験から, 移植栽培に比べて3.2~6.7日短かった. また, 直播栽培は一穂籾数が移植栽培の70%と少なく, 13~23%低収となった. 出穂後35日間の日平均積算気温と登熟日数には両栽培法とも直線関係があったが, 直播栽培の登熟日数は, 移植栽培よりも約6日短かった. 両栽培法間の登熟日数の差異が最小の品種で3日であったことから, 直播栽培の出穂晩限を, 移植栽培の栽培基準の出穂晩限の3日後とし, 各市町村において, 平年の気象から簡易有効積算気温を用いて推定した出穂期をもとに直播栽培の適否を判定した. その結果, 直播栽培の適地は中生品種では南部を中心とする一部にすぎなかったが, 早生品種では北部など気象条件の厳しい地帯を除いた主要な稲作地域が含まれた.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.76.591