圃場条件下における根粒超着生ダイズ品種作系4号とエンレイ・タマホマレとの収量性比較

近年, 根粒超着生ダイズ品種作系4号(関東100号)はエンレイだけではなくタマホマレからも由来した育成品種であることが明らかにされた. 本研究では, 作系4号が有する根粒超着生形質が収量向上に貢献しうるのかを確認するために, エンレイおよびタマホマレとともに, その生産性を水田転換畑圃場で2年間比較し, 作系4号の収量改善効果について解析した. 作系4号の開花期, 成熟期および子実中窒素含有率はエンレイとタマホマレの間にあった. 2004年の収量を比較すると, 作系4号は不耕起狭畦密植・窒素増肥条件下で最高収量297kg/10aを示し, エンレイに対してほぼ同程度か高い傾向を示した. ところが...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 2007, Vol.76(4), pp.548-554
Hauptverfasser: 島村, 聡, 高橋, 幹, 中村, 卓司, 中山, 則和, 山本, 亮, 金栄, 厚, 島田, 信二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 根粒超着生ダイズ品種作系4号(関東100号)はエンレイだけではなくタマホマレからも由来した育成品種であることが明らかにされた. 本研究では, 作系4号が有する根粒超着生形質が収量向上に貢献しうるのかを確認するために, エンレイおよびタマホマレとともに, その生産性を水田転換畑圃場で2年間比較し, 作系4号の収量改善効果について解析した. 作系4号の開花期, 成熟期および子実中窒素含有率はエンレイとタマホマレの間にあった. 2004年の収量を比較すると, 作系4号は不耕起狭畦密植・窒素増肥条件下で最高収量297kg/10aを示し, エンレイに対してほぼ同程度か高い傾向を示した. ところが, 不耕起狭畦密植区のタマホマレは標準施肥条件で368kg/10a, 窒素増肥条件で322kg/10aを示し, 作系4号の最高収量を大きく上回っていた. 一方, 2005年では, 播種時期の連続した降雨により播種が適期より1ヶ月程度遅れ, さらに茎疫病などの発生により栽植密度がやや減少して作系4号の能力が発揮できない状況下では, 作系4号の最高収量は233kg/10aで, エンレイ, タマホマレよりも明らかに低かった. また, 作系4号は開花期に地上部乾物重が200kg/10aを超えた場合には, その収量はエンレイを大きく優るとされるが, 本研究ではその現象を確認できなかった. 以上の結果より, 作系4号の収量は耕起狭畦密植・窒素増肥条件ではエンレイと同程度以上であるが, タマホマレよりは劣ることが明らかとなった. 従って, 作系4号が持つ根粒超着生形質による収量向上への貢献は困難であると判断された.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.76.548