ブラジルの食肉目から分離された野外狂犬病ウイルスの系統学的解析

ブラジルではイヌに狂犬病が発生しており、さらに近年、キツネから分離された狂犬病ウイルス(RV)はイヌから分離されたRVと遺伝子学的に近縁であることが報告された。本研究はブラジルの食肉目の間で維持されているRVの疫学的特徴を明らかにするために、イヌ、ネコおよびキツネから分離されたRVの系統解析を行った。ブラジルで分離された食肉目分離株は、2つの系統に分類された。第1の系統は、家庭動物であるイヌおよびネコから分離されたRVによって構成されており、アルゼンチンおよびボリビアで分離された食肉目分離株はこの系統に属した。このことから、第1の系統はブラジルおよびその周囲の広範囲な地域に分布することが明らか...

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Veröffentlicht in:Journal of veterinary medical science 2007-07, Vol.69 (7), p.691-696
Hauptverfasser: 小林, 由紀, 井上, 奈奈, 佐藤, 豪, 伊藤, 琢也, Santos, H.P, Brito, C.J.C, Gomes, A.A.B, Santos, M.F.C, Silva, M.V, Mota, C.S, Ito, F.H, 酒井, 健夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ブラジルではイヌに狂犬病が発生しており、さらに近年、キツネから分離された狂犬病ウイルス(RV)はイヌから分離されたRVと遺伝子学的に近縁であることが報告された。本研究はブラジルの食肉目の間で維持されているRVの疫学的特徴を明らかにするために、イヌ、ネコおよびキツネから分離されたRVの系統解析を行った。ブラジルで分離された食肉目分離株は、2つの系統に分類された。第1の系統は、家庭動物であるイヌおよびネコから分離されたRVによって構成されており、アルゼンチンおよびボリビアで分離された食肉目分離株はこの系統に属した。このことから、第1の系統はブラジルおよびその周囲の広範囲な地域に分布することが明らかとなった。第2の系統は、イヌ分離株によって構成される1つのサブ系統とキツネ分離株によって構成される2つのサブ系統によって構成されており、イヌ分離株は、キツネ分離株のサブ系統の分岐として位置していたことから、過去にイヌとキツネの間でRV伝播が起きた可能性が示唆された。以上、イヌと野生動物の接触は新たなRV変異株を出現させる可能性があり、狂犬病の流行を防止するためにはイヌと野生動物の両方の狂犬病をコントロールすることが重要である。
ISSN:0916-7250