2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-doxin(TCDD)雄親直接曝露は次世代性比へ影響を与えるか
1976年にイタリアのセベソで起きた農薬工場の爆発事故により、TCDDに曝露された親から生まれた子は男子より女子のほうが多いことが示された。しかし、TCDD曝露による性比(雄産子/全体)変動のメカニズムは未だ不明確であるうえ、実験動物を用いたTCDD曝露による性比への影響に焦点をあてた報告はほとんどない。そこで今回、7週齢雄ICRマウス(n=120)を任意に3群に分け、溶媒対照群、および投与群は初回、2および2000ng/kgの2群に分けてTCDDを経口投与し、その後、維持投与量として各群0.4(T2/0.4群)および400(T2000/400群)ng/kgのTCDDを13週齢まで毎週投与した...
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Veröffentlicht in: | Journal of veterinary medical science 2007-04, Vol.69 (4), p.347-352 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1976年にイタリアのセベソで起きた農薬工場の爆発事故により、TCDDに曝露された親から生まれた子は男子より女子のほうが多いことが示された。しかし、TCDD曝露による性比(雄産子/全体)変動のメカニズムは未だ不明確であるうえ、実験動物を用いたTCDD曝露による性比への影響に焦点をあてた報告はほとんどない。そこで今回、7週齢雄ICRマウス(n=120)を任意に3群に分け、溶媒対照群、および投与群は初回、2および2000ng/kgの2群に分けてTCDDを経口投与し、その後、維持投与量として各群0.4(T2/0.4群)および400(T2000/400群)ng/kgのTCDDを13週齢まで毎週投与した。最終投与1週間後に無処置の雌と交配させ、新生子マウスの腹毎の性比を算出した。また、父親の主要臓器重量を測定したうえで、一般組織染色および肝臓については薬物代謝酵素CYP1A1に対する定量免疫組織化学的解析を行った。その結果、性比は濃度反応性に減少し、T2000/400群で有意に減少した(対照群:53.1±1.7:T2/0.4群:48.8±2.5;T2000/400群:46.2±2.1)。さらに、肝臓におけるCYP1A1陽性面積率をもとにT2000/400群を3亜群(low sensitive;middle sensitive;high sensitive)に分け性比を算出したところ、CYP1A1感受性と性比とに有意な相関が認められ、high sensitive群で有意に性比が減少した。また、TCDD曝露による全体の産子数に変化はなかったが、雄産子数が減少し雌産子数が増加した。これらの結果より、性比変化の原因としてTCDD曝露によるY精子の受精能低下が示唆された。 |
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ISSN: | 0916-7250 |