組織ドプラ法による犬の左脚ブロックの2症例における両心室間非協調性の評価

左脚ブロックは,刺激伝導障害であり,心疾患と関連してみられることが多い。ヒトにおいて,脚ブロックは左右心室間の収縮運動にずれ(非協調性)を生じ,心機能の低下に発展していくと推測されている1, 2)。我々は,左脚ブロックと診断された2頭のイヌにおいて,従来の心エコー法と組織ドプラ法(TDI法)による測定を行い,TDI法の有用性を検討した。従来の心エコー検査では,左右心室の前駆出時間(PEP)を測定した。TDI法による心室の収縮機能を測定するために,収縮期心筋運動速度のピーク値(Sm)と,左右心室の収縮運動の協調性を調べるために,QRS群の始まりからSmに達するまでの時間(Ts)を測定した。しかし...

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Veröffentlicht in:Dōbutsu no junkanki 2006, Vol.39(2), pp.47-54
Hauptverfasser: 小山, 秀一, 喜綿, 和美, 松本, 浩毅, 土肥, あずさ, 福島, 隆治, 廣瀬, 昶
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:左脚ブロックは,刺激伝導障害であり,心疾患と関連してみられることが多い。ヒトにおいて,脚ブロックは左右心室間の収縮運動にずれ(非協調性)を生じ,心機能の低下に発展していくと推測されている1, 2)。我々は,左脚ブロックと診断された2頭のイヌにおいて,従来の心エコー法と組織ドプラ法(TDI法)による測定を行い,TDI法の有用性を検討した。従来の心エコー検査では,左右心室の前駆出時間(PEP)を測定した。TDI法による心室の収縮機能を測定するために,収縮期心筋運動速度のピーク値(Sm)と,左右心室の収縮運動の協調性を調べるために,QRS群の始まりからSmに達するまでの時間(Ts)を測定した。しかし,TDI法による測定値を考察するためのイヌにおける報告がなかったため,正常な心機能をもつ13頭のビーグル犬で同様の測定を行い,それぞれの値を比較した。左脚ブロックの症例において,左室壁,心室中隔壁のTs時間は,右室壁のそれに比較して,明らかに延長した。また,これらの値は,コントロール群と比較すると,明らかに長かった。また,左脚ブロックの症例の左室壁,心室中隔壁のSm値は,右室壁のそれに比較して,明らかに低い値を示し,またコントロール群と比較するとこれらの値は,明らかに低下していた。そして,左右心室壁のTs時間の差と,QRS持続時間の関係をみると,QRS持続時間が長いほど,左右心室壁のTs時間の差が大きくなっていることがわかった。この左右心室壁のTs時間の差とQRS持続時間との関係は,左右心室のPEPの差とQRS持続時間との関係と類似していることが確認された。以上より,左脚ブロックという伝導障害をもつ症例において,TDI法によるTs時間の測定は,左右心室の収縮運動の非協調性の評価に有用であり,またSm値の測定は,心室の運動性の評価に有用であると考えられた。そして,PEPのほか,TDI法によるTs時間を基にして,左右心室間の収縮運動のずれ,つまり非協調性をみることは,心電図検査による電気的な情報を得ることに加え,さらに病態の評価に有用であると思われた。
ISSN:0910-6537
1883-5260
DOI:10.11276/jsvc.39.47