モウソウチク林の侵入と繁殖特性

1.竹林の分布と侵入実態を把握するため、航空写真による竹林分布解析と現地において隣接林の林型と竹林の侵入実態・侵入抑制事例調査を行った。1)GISを用いた2時期の竹林分布解析では、侵入により竹林化が懸念されるところは里山地域であった。また、5年間の竹林面積の変化は、全体で60.3haから84.5haと約40%の増加となり、侵入・拡大が活発な竹林は、面積が0.1~0.4haの小面積竹林であった。2)大阪府下の竹林の侵入実態調査では、ほとんどの竹林が隣接林分へ侵入していた。竹林の侵入が著しいのは落葉広葉樹林で、スギ・ヒノキ林では20年以下の若齢林が枯死や竹林化の被害を受けやすい傾向がみられた。3)...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:大阪府立食とみどりの総合技術センター研究報告 = Bulletin of Agricultural, Food and Environmental Sciences Research Center of Osaka Prefecture Food and Environmental Sciences Research Center of Osaka Prefecture, 2005-03 (41), p.11-18
Hauptverfasser: 伊藤, 孝美, 山田, 倫章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:1.竹林の分布と侵入実態を把握するため、航空写真による竹林分布解析と現地において隣接林の林型と竹林の侵入実態・侵入抑制事例調査を行った。1)GISを用いた2時期の竹林分布解析では、侵入により竹林化が懸念されるところは里山地域であった。また、5年間の竹林面積の変化は、全体で60.3haから84.5haと約40%の増加となり、侵入・拡大が活発な竹林は、面積が0.1~0.4haの小面積竹林であった。2)大阪府下の竹林の侵入実態調査では、ほとんどの竹林が隣接林分へ侵入していた。竹林の侵入が著しいのは落葉広葉樹林で、スギ・ヒノキ林では20年以下の若齢林が枯死や竹林化の被害を受けやすい傾向がみられた。3)竹林の侵入方向は斜面上方に向かう事例が多く、側方に向かう事例がこれに次ぎ、下方に向かう事例は少なかった。この竹林の侵入方向の傾向は地下茎の進行方向の分布と一致した。4)竹林の侵入抑制事例は、(1)踏み固められた里道や作業道がある、(2)深さ50cmを越えるコンクリート側溝やU字溝がある、(3)水が常時流れる谷や小川がある、(4)1m以上の高さの擁壁がある場合であった。2.モウソウチクの繁殖特性を把握するため、所内に固定試験地を設定して竹稈の侵入経過と地下茎を調査した。固定試験地では、モウソウチク竹稈は3年で約20m侵入し、スギ・ヒノキ林は竹稈密度2000本/ha(胸高断面積合計14.17m2/ha)の竹林になった。竹稈の侵入距離は年により不規則であったが、年平均侵入距離約6mであった。これに対し地下茎の年平均生長量は約3mで、地下茎の生長と竹稈の侵入には規則的な関係はみられなかった。3.竹林を毎年全伐することによる翌年発生の竹稈に及ぼす影響を調査した。毎年7月に伐採すると翌年発生してくる竹稈の直径は年々小さくなった。しかし、伐らずに残した部分があると、残した部分に近いところの発生竹稈の直径は大きく、遠くなるほど小さくなった。
ISSN:1348-4397