マイクロ波照射を用いたキノコ子実体からの多糖類の抽出

ヤマブシタケ子実体からの多糖類の抽出を含水下マイクロ波照射により行った.本研究では,マイクロ波照射の際の温度および時間がヤマブシタケの高分子成分の可溶化にどのように影響を及ぼすのかを検討した.まず,マイクロ波照射による加熱温度を上昇させていった結果,可溶化される高分子成分は加熱温度の上昇とともに低分子化されていき(Fig. 2),加熱温度200°Cまでは加熱温度の上昇とともに多糖類を含めた高分子成分の可溶化が進んでいくことがわかった(Fig. 1).一方,マイクロ波加熱処理後の残渣に含まれている成分を分析した結果,キノコに含まれる有用な生理活性物質の一つといわれるβ-glucanの中には他の多...

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Veröffentlicht in:Journal of Applied Glycoscience 2006, Vol.53(4), pp.267-272
Hauptverfasser: 大櫛, 祐一, 坂本, 正弘, 東, 順一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ヤマブシタケ子実体からの多糖類の抽出を含水下マイクロ波照射により行った.本研究では,マイクロ波照射の際の温度および時間がヤマブシタケの高分子成分の可溶化にどのように影響を及ぼすのかを検討した.まず,マイクロ波照射による加熱温度を上昇させていった結果,可溶化される高分子成分は加熱温度の上昇とともに低分子化されていき(Fig. 2),加熱温度200°Cまでは加熱温度の上昇とともに多糖類を含めた高分子成分の可溶化が進んでいくことがわかった(Fig. 1).一方,マイクロ波加熱処理後の残渣に含まれている成分を分析した結果,キノコに含まれる有用な生理活性物質の一つといわれるβ-glucanの中には他の多糖類に比べ可溶化されにくいものが存在するが(Fig. 1),それらも加熱温度が210°Cを超えると低分子化した状態で可溶化してしまい,後にはほぼキチンだけが残存することが明らかになった(Fig. 3).次に,マイクロ波照射時間を変化させて同様の加熱抽出を行った.その結果,可溶化される成分および可溶化されずに残る成分に関して,加熱温度を上昇させた場合と同様の影響を及ぼすことがわかった.また,マイクロ波照射による抽出によって得られた結果と通常の外部加熱により抽出した結果を比較,検討した結果,140°C,5分のマイクロ波照射と100°C,6時間の外部加熱がほぼ同等の抽出効果を示すことが明らかになった(Table 3,Fig. 7).この結果から,キノコからの多糖類の抽出にマイクロ波照射を用いることで,抽出にかかる時間を大幅に短縮できることが示唆された.
ISSN:1344-7882
1880-7291
DOI:10.5458/jag.53.267