天然林土壌における培養法および直接検鏡法による微生物数量(日本土壌肥料学会2005年度大会プログラム)
世界遺産春日山天然林を代表する照葉樹林(B_D型),天然杉林(B_D型)および秀吉杉林(P_w型)下の土壌における理化学的性質および培養法と直接検鏡法を用いて微生物の数量を調べた。1)培養法および直接検鏡法による微生物数はともに,有機物層のFおよびH層で多く,鉱質土層では著しく減少していたことから,有機物層で活発に物質代謝が行われていることが推察された。2)培養法で得られた細菌数は直接検鏡法のそれの1%未満しか計数されないことから,森林土壌は農耕地土壌と比べ培養不可能な細菌が多く存在していることが見出された。3)直接検鏡法による全細菌数および糸状菌菌糸長はH層がF層よりも多く,培養法とは異なっ...
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Veröffentlicht in: | Nippon dojō hiryōgaku zasshi 2005/08/05, Vol.76(4), pp.459-470 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 世界遺産春日山天然林を代表する照葉樹林(B_D型),天然杉林(B_D型)および秀吉杉林(P_w型)下の土壌における理化学的性質および培養法と直接検鏡法を用いて微生物の数量を調べた。1)培養法および直接検鏡法による微生物数はともに,有機物層のFおよびH層で多く,鉱質土層では著しく減少していたことから,有機物層で活発に物質代謝が行われていることが推察された。2)培養法で得られた細菌数は直接検鏡法のそれの1%未満しか計数されないことから,森林土壌は農耕地土壌と比べ培養不可能な細菌が多く存在していることが見出された。3)直接検鏡法による全細菌数および糸状菌菌糸長はH層がF層よりも多く,培養法とは異なっていた。H層はF層より微生物の基質となる有機物量が少ないため,富栄養条件の培養法では生育できない細菌および糸状菌が多く存在していることが示唆された。4)糸状菌バイオマス(F_m)と細菌バイオマス(B_m)との比,F_m/B_mは照葉樹林では両杉林に比べて低く,相対的に糸状菌バイオマスが少ないことが明らかとなった。また,本森林土壌のF_m/B_mは農耕地土壌のそれに比べて著しく高いことから,森林土壌は糸状菌バイオマスの占める割合が極めて高いことが示された。5)全炭素量に占めるバイオマス炭素量の割合は,0.11〜4.62%と農耕地土壌のそれに比べて低い傾向が認められた.細菌および糸状菌の存在量は,易分解性有機物が多量に集積している照葉樹林の方が天然杉林よりも著しく多く,両杉林間では容積重の大きい秀吉杉林の方が多少とも多かった。 |
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ISSN: | 0029-0610 2424-0583 |
DOI: | 10.20710/dojo.76.4_459 |