暑熱ストレスがマウス卵管酸化還元状態および初期胚発生に及ぼす影響

暑熱ストレスに起因する初期胚死滅は様々な哺乳動物で生じることが知られているが、その発症機序の詳細は未だ明らかではない。本研究では、マウス卵管の酸化還元状態と暑熱ストレスに起因する初期胚死滅の関連を検証した。実験1では、非妊娠の雌マウスに12、24または36時間の暑熱ストレス処理(35C、相対湿度60%)を施し、卵管における活性酸素種(ROS)の産生量とフリ-ラジカル除去活性(FRSA)および肝臓中のグルタチオンペルオキシダ-ゼ(GSH-Px)活性と過酸化脂質量の変動を調べた。実験2では、交配1日目のマウスに12時間の暑熱ストレス処理を施した後、回収した胚の体外発生能および2細胞期におけるDNA...

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Veröffentlicht in:The Journal of reproduction and development 2005-04, Vol.51 (2), p.281-287
Hauptverfasser: 松塚, 好也, 小沢, 学, 中村, 綾子, 牛谷, 敦子, 平林, 美穂, 金井, 幸雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:暑熱ストレスに起因する初期胚死滅は様々な哺乳動物で生じることが知られているが、その発症機序の詳細は未だ明らかではない。本研究では、マウス卵管の酸化還元状態と暑熱ストレスに起因する初期胚死滅の関連を検証した。実験1では、非妊娠の雌マウスに12、24または36時間の暑熱ストレス処理(35C、相対湿度60%)を施し、卵管における活性酸素種(ROS)の産生量とフリ-ラジカル除去活性(FRSA)および肝臓中のグルタチオンペルオキシダ-ゼ(GSH-Px)活性と過酸化脂質量の変動を調べた。実験2では、交配1日目のマウスに12時間の暑熱ストレス処理を施した後、回収した胚の体外発生能および2細胞期におけるDNA損傷について検証した。その結果、卵管のFRSAに対する暑熱ストレスの影響はみられなかったものの、ROSは暑熱ストレス時間に依存した有意な増加を示し肝臓中のGSH-Px活性と過酸化脂質量も有意に増加した。また、暑熱ストレスを受けたマウス胚は、桑実胚および胚盤胞への発生率が有意に減少した。さらに2細胞期におけるDNA損傷の有意な増加が観察された。以上の結果から、暑熱ストレスに伴う母体組織の酸化ストレス亢進と暑熱ストレスに起因する初期胚死滅との関連が示唆された。
ISSN:0916-8818