メロン急性萎凋症の発生に関与する病原菌と防除対策

1985年から1991年に鹿児島県内に発生したメロンの急性萎凋症の発生要因について,土壌病原菌との関係の面から検討を行って,その防除対策を検討した。現地での発生実態調査の結果,萎凋症状の現れ方はいずれもほぼ同様で,果実肥大期頃から下葉からの黄化,日中の萎れが見られるようになり収穫期直前から病状は急に進展し,重傷のものは立ち枯れに至るものであった。発生株の根は褐変あるいは枯死がみられ,ネコブセンチュウのゴール着生はなかった。また発生圃場は連作圃場がほとんどで,土壌殺菌くん蒸剤による土壌消毒はほとんどなされていなかった。発生株の根の病変部からは多くの糸状菌が分離されたが,メロンに病原性を有するもの...

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Veröffentlicht in:鹿児島県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Kagoshima Agricultural Experiment Station 2005-03 (33), p.95-109
1. Verfasser: 和泉, 勝一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1985年から1991年に鹿児島県内に発生したメロンの急性萎凋症の発生要因について,土壌病原菌との関係の面から検討を行って,その防除対策を検討した。現地での発生実態調査の結果,萎凋症状の現れ方はいずれもほぼ同様で,果実肥大期頃から下葉からの黄化,日中の萎れが見られるようになり収穫期直前から病状は急に進展し,重傷のものは立ち枯れに至るものであった。発生株の根は褐変あるいは枯死がみられ,ネコブセンチュウのゴール着生はなかった。また発生圃場は連作圃場がほとんどで,土壌殺菌くん蒸剤による土壌消毒はほとんどなされていなかった。発生株の根の病変部からは多くの糸状菌が分離されたが,メロンに病原性を有するものではPythium属菌が多く,次いでメロン黒点根腐病菌であった。病原性を有するRhizoctonia属菌も分離されるが頻度は低かった。これら3属菌を供試して促成栽培と普通栽培で急性萎凋症の発生について検討したところ,Phthium属菌と黒点根腐病菌ではいずれの作型でも現地圃場に発生した急性萎凋症に類似した症状が再現された。Rhizoctonia属菌では栽培末期の根の侵害も認められず,急性萎凋症発生に関与しないとみられた。急性萎凋症の発生には,着果負担が誘因として大きいことが示唆され,ネコブセンチュウの発生はこれらの病原菌による被害発生を助長することが示された。また,クロルピクリンなどによる的確な土壌消毒で,急性萎凋症の発生は確実に防止できた。
ISSN:0388-8215