絶滅危惧種「アカヤシオ」の兵庫県内自生地における生育状況
兵庫県版レッドデータブック掲載種であるアカヤシオ(Rhododendron pentaphyllum var. nikoense)の県内2ヶ所の自生地(雪彦山、笹形山)で生育状況を調査した。2ヶ所の自生地は海抜高800m以上の尾根筋にある岩石地の風衝地であり、土壌はせき悪であった。アカヤシオは高木性の樹種の樹高成長が制限される条件をもつ場所を避難場所として生育しているようである。階層構造をみると、アカヤシオは中層を形成し上層を形成する高木性の樹種により被圧されている個体が多かった。開花・結実は中層以上を占め光条件が良好な個体の樹冠上部にのみ認められた。稚樹は林内の光条件が良好な場所に発生してい...
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Veröffentlicht in: | 兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告. 森林林業編 2005-01 (52), p.11-14 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 兵庫県版レッドデータブック掲載種であるアカヤシオ(Rhododendron pentaphyllum var. nikoense)の県内2ヶ所の自生地(雪彦山、笹形山)で生育状況を調査した。2ヶ所の自生地は海抜高800m以上の尾根筋にある岩石地の風衝地であり、土壌はせき悪であった。アカヤシオは高木性の樹種の樹高成長が制限される条件をもつ場所を避難場所として生育しているようである。階層構造をみると、アカヤシオは中層を形成し上層を形成する高木性の樹種により被圧されている個体が多かった。開花・結実は中層以上を占め光条件が良好な個体の樹冠上部にのみ認められた。稚樹は林内の光条件が良好な場所に発生していたが、伸長量は小さかった。2ヶ所の調査地はいずれもアカヤシオの生存が緊急に脅かされるという状況ではなかったが、周囲の高木性樹種により被圧を受け徐々に枯死する可能性が考えられる。保全策としてはアカヤシオの周囲にある高木性の樹種を除伐し、光条件を改善することが必要である。また後継樹の確保のためには、稚樹が定着する明るい場所を確保するとともに、稚樹の獣害防除や下刈りなども必要である。また、早期に後継樹を確保するためには、自生母樹からの採取・育苗、苗木の植栽なども検討する必要がある。 |
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ISSN: | 1347-7749 |