絶滅危惧種「サラサドウダン」の保全に関する研究(1) : 県内自生地における生育実態

兵庫県版レッドデータブック掲載種であるサラサドウダンの県内自生地での生育実態を調査した。自生地は中国山地の段ケ峰からフトウガ峰にかけての尾根筋(調査地1)、千町峰の山頂付近(調査地2)、東山山頂南側の平坦地(調査地3)、三室山の海抜1,000m付近から山頂にかけての登山道沿い(調査地4)、後山山頂付近および後山から舟木山(海抜高;1,334m)・鍋ケ谷山(海抜高;1,253m)・駒の尾山(海抜高;1,280m)・ダルガ峰(海抜高;1,163m)と続く県境尾根筋(調査地5)の登山道に面した比較的光条件の良好な場所に自生していた。調査地1、2、3では、ほとんどの個体がシカによる剥皮害を受け多くの個...

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Veröffentlicht in:兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告. 森林林業編 2005-01 (52), p.1-6
Hauptverfasser: 吉野, 豊, 前田, 雅量, 山瀬, 敬太郎, 上山, 泰代
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:兵庫県版レッドデータブック掲載種であるサラサドウダンの県内自生地での生育実態を調査した。自生地は中国山地の段ケ峰からフトウガ峰にかけての尾根筋(調査地1)、千町峰の山頂付近(調査地2)、東山山頂南側の平坦地(調査地3)、三室山の海抜1,000m付近から山頂にかけての登山道沿い(調査地4)、後山山頂付近および後山から舟木山(海抜高;1,334m)・鍋ケ谷山(海抜高;1,253m)・駒の尾山(海抜高;1,280m)・ダルガ峰(海抜高;1,163m)と続く県境尾根筋(調査地5)の登山道に面した比較的光条件の良好な場所に自生していた。調査地1、2、3では、ほとんどの個体がシカによる剥皮害を受け多くの個体が衰弱・枯死していた。調査地4、5では、サラサドウダンはブナ林の上層木や人工造林されたスギ、ヒノキにより被圧を受けており、光条件が不良で衰弱・枯死している個体が多く認められ、ほとんどの個体で開花・結実がみられなかった。また、稚樹が定着する明るいギャップ状の場所が少なく、光条件が不良であり、林床のササ類の密生が稚樹の発生を阻害しており、後継樹は育っていない。以上の結果からシカの剥皮害と上層木による被圧に伴う光条件の悪化がサラサドウダンの保全上の大きな問題点であることがわかった。
ISSN:1347-7749