育苗期の遮光がカシューナッツの木部機能不全に及ぼす影響

カシューナッツでは木部の水ポテンシャルが低下しても木部水の連続性を維持する能力, すなわち木部機能不全の感受性が低いことが干ばつ抵抗性をもたらすと考えられている.苗は遮光条件下で育てられるので, 遮光がカシューナッツ苗の木部機能不全に対する感受性に及ぼす影響を調べた.木部機能不全に対して抵抗性の1系統 (A3-1) と感受性の2系統 (G-85, Wonogiri-2) を野外と遮光条件下で4ヶ月栽培し, 木部機能不全の感受性を調べた.木部の水伝導度を最大値の50%に低下させる圧力 (P50) を感受性の指標としたところ, 野外ではG-85とWonogiri-2のP50が約1.2MPaであった...

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Veröffentlicht in:Nettai nōgyō 2004/09/01, Vol.48(3), pp.149-155
Hauptverfasser: ピトノ, ジョコ, 津田, 誠, 平井, 儀彦
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:カシューナッツでは木部の水ポテンシャルが低下しても木部水の連続性を維持する能力, すなわち木部機能不全の感受性が低いことが干ばつ抵抗性をもたらすと考えられている.苗は遮光条件下で育てられるので, 遮光がカシューナッツ苗の木部機能不全に対する感受性に及ぼす影響を調べた.木部機能不全に対して抵抗性の1系統 (A3-1) と感受性の2系統 (G-85, Wonogiri-2) を野外と遮光条件下で4ヶ月栽培し, 木部機能不全の感受性を調べた.木部の水伝導度を最大値の50%に低下させる圧力 (P50) を感受性の指標としたところ, 野外ではG-85とWonogiri-2のP50が約1.2MPaであったのに対して, A3-1のそれは1.55MPaとA3-1のほうが抵抗性であった.遮光によってA3-1の感受性は増加したが, G-85とWonogiri-2のそれは変わらなかったため, 遮光条件下では系統間で感受性の差が見られなかった.茎長/茎径の比は3系統とも遮光により大きくなり, 徒長したことが認められた.徒長の程度はA3-1で最も大きく, そしてこの系統のみで導管直径が増加した.これらの結果から, A3-1で遮光によって感受性が高くなったのは, 徒長にともない導管壁が脆弱になったことと導管直径が大となったことによると推察された.以上から, 抵抗性の木部を持つA3-1の苗を生産するためには, 徒長が起こらない程度の遮光を用いることが重要であると考えられた.
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.48.149