針広混交林化したヒノキ不成績造林地の成長解析: 京都府美山町の24年生ヒノキ人工林を事例として

京都府美山町の24年生ヒノキ不成積造林地に調査プロットを設定し,サンプル木の樹幹解析によって材積成長の経過を解析した.その結果,ヒノキのサンプル木の材積成長速度が増加を続けていたのに対し,上層広葉樹のサンプル木の半数以上において,樹高が林冠に達する時期に材積成長速度が頭打ちになるか,減少し始めていることが明らかになった.今後この林を,手入れせず放置した場合,旺盛な成長を続けているヒノキが益々優勢になると考えられた.広葉樹の活力が減退している要因としては,ヒノキと広葉樹間の競争のみならず,同じ株内の萌芽幹どうしの競争の影響が小さくないことが示唆された.また,この林では有用広葉樹を多く含む侵入広葉...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:森林研究 2003, Vol.75, pp.11-17
Hauptverfasser: 嶋田, 峻平, 竹内, 典之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:京都府美山町の24年生ヒノキ不成積造林地に調査プロットを設定し,サンプル木の樹幹解析によって材積成長の経過を解析した.その結果,ヒノキのサンプル木の材積成長速度が増加を続けていたのに対し,上層広葉樹のサンプル木の半数以上において,樹高が林冠に達する時期に材積成長速度が頭打ちになるか,減少し始めていることが明らかになった.今後この林を,手入れせず放置した場合,旺盛な成長を続けているヒノキが益々優勢になると考えられた.広葉樹の活力が減退している要因としては,ヒノキと広葉樹間の競争のみならず,同じ株内の萌芽幹どうしの競争の影響が小さくないことが示唆された.また,この林では有用広葉樹を多く含む侵入広葉樹が上層林の約3割を占めていたことや,植栽されたヒノキの多くが雪害やクマ剥ぎ被害を受けていたことから,ヒノキの単純林を目標とするより,より広葉樹の混合率の高い針広混合林として管理することが望ましいと考えられた.広葉樹の成長を促進するためには,ヒノキの間伐及び,広葉樹どうしの競争を緩和するための株整理が必要であると考えられた.
ISSN:1344-4174
2759-3134
DOI:10.60409/forestresearch.75.0_11