クリーク水質に及ぼす底泥と水生植物の影響
本研究では、灌漑期と非灌漑期のクリーク水質特性を比較検討し、特に、水位が低下し、水流が停滞する非灌漑期の水質動態に着目し、ホテイアオイを栽培し、溶出実験を行った。これらの調査および実験の結果は、以下のように要約できる。1.クリークの水質変動にクリーク植生は大きく影響する。ホテイアオイが繁殖するクリークでは、水質の鉛直分布および時間変化がほとんど見られなかった。2.ホテイアオイは繁殖力が大きく水中からの栄養塩類などの吸収能力が高いが、腐敗が進み、茎部や根部などが沈降すると、植物体に蓄積されていた栄養塩類が溶出することが明らかになった。3.非灌漑期の水質悪化は、底泥からの栄養塩類溶出も一因であるが...
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Veröffentlicht in: | 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 2003-10, Vol.58 (1-2), p.61-68 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 本研究では、灌漑期と非灌漑期のクリーク水質特性を比較検討し、特に、水位が低下し、水流が停滞する非灌漑期の水質動態に着目し、ホテイアオイを栽培し、溶出実験を行った。これらの調査および実験の結果は、以下のように要約できる。1.クリークの水質変動にクリーク植生は大きく影響する。ホテイアオイが繁殖するクリークでは、水質の鉛直分布および時間変化がほとんど見られなかった。2.ホテイアオイは繁殖力が大きく水中からの栄養塩類などの吸収能力が高いが、腐敗が進み、茎部や根部などが沈降すると、植物体に蓄積されていた栄養塩類が溶出することが明らかになった。3.非灌漑期の水質悪化は、底泥からの栄養塩類溶出も一因であるが、水生植物の腐敗による影響が大きい。腐敗した水生植物の一部が底泥を生成する。本実験で行った、水生植物存在下での底泥溶出モデルを構築する際は、クロロフィルa、植物プランクトン、DO、CODなどの項を考慮する必要がある。その他、農地からの流入負荷量、底泥への吸着、底泥の巻き上げなども考慮できれば、クリーク内での物質移動が再現できると考えられる。本研究では9月から1月までを実験期間としたが、今後はホテイアオイの生長を考慮して1年を通した調査および実験が必要である。またクリークのみを対象とするのではなく、クリーク・水田系として水質をとらえ、流入・流出を考慮に入れることが今後の課題である(楠田、2001)。農業農村整備事業では、環境との調和に配慮した調査・計画が行われており、環境への意識が高まっている。クリークを取り巻く水環境においても、行政や地域住民が一体となって意識を高め、適切な維持管理がなされるべきである。 |
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ISSN: | 1347-0159 |