鶏インフルエンザと人の健康

人には感染しないと考えられていた鳥インフルエンザが1997年に香港で発生したときには18名に感染し、うち6名が死亡した。このH5ウイルスはヒトからヒトに感染することはなかった。結果的に世界規模の大流行に至らなかったのはこのウイルスが未だヒトに十分適応しておらず、レセプター特異性が鳥型のままであったことが幸いしたと考えられる。2年後の1999年3月、同じ香港で今度は鳥インフルエンザH9ウイルスが2人の女の子から分離された。このケースでもウイルスはヒトからヒトに感染することはなかった。この事件はレセプター特異性が異なるにも関わらずヒトに感染する鳥ウイルスはH5ウイルスに限らずすべての亜型(H1とH...

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Veröffentlicht in:Nihon Kakin Gakkaishi 2003-05, Vol.40 (2), p.83-88
1. Verfasser: 伊藤, 壽啓
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:人には感染しないと考えられていた鳥インフルエンザが1997年に香港で発生したときには18名に感染し、うち6名が死亡した。このH5ウイルスはヒトからヒトに感染することはなかった。結果的に世界規模の大流行に至らなかったのはこのウイルスが未だヒトに十分適応しておらず、レセプター特異性が鳥型のままであったことが幸いしたと考えられる。2年後の1999年3月、同じ香港で今度は鳥インフルエンザH9ウイルスが2人の女の子から分離された。このケースでもウイルスはヒトからヒトに感染することはなかった。この事件はレセプター特異性が異なるにも関わらずヒトに感染する鳥ウイルスはH5ウイルスに限らずすべての亜型(H1とH3以外)のウイルスがヒトに感染する新型ウイルスになり得ることを示唆している。そのウイルスがもしレセプター特異性を変化させ、ヒトからヒトヘ感染する能力を獲得すれば新たな血清亜型に対する抗体を持たない我々とって脅威となることはほぼ間違いない。それがいつ起こるかはわからないが、我々はその日を想定して広範な監視体制の確立と具体的な対応策を早急に確立しておく必要に迫られている。
ISSN:0029-0254