サケ科魚類における代謝率と行動特性および成長の関係(<特集>植物と動物におけるエネルギー消費)

体サイズが大きい個体ほど繁殖成功度が高いことが多く動物分類群で知られている。雌では大きい個体ほど多くの卵(子)を生み、雄であれば多くの繁殖機会を得る。また、大きい個体ほど生物学的要因(捕食者・同種内競争率)・非生物的要因(気候・水温等)による死亡率が低いことも知られている。すなわち、体サイズは個体の繁殖・生残に強く影響する因子であり、個体の成長に関わる要因を明らかにすることは重要である。本研究で扱うサケ科魚類においても、大きい個体ほど生息場所を巡る直接的な競争関係において優位であり好適な場所を獲得し、繁殖期においてより多くの子孫を残し、河川・海洋の両生活期において生存率が高い。このように生活史...

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Veröffentlicht in:Nihon Seitai Gakkai shi 2003/04/30, Vol.53(1), pp.43-47
Hauptverfasser: 山本, 俊昭, 前川, 光司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:体サイズが大きい個体ほど繁殖成功度が高いことが多く動物分類群で知られている。雌では大きい個体ほど多くの卵(子)を生み、雄であれば多くの繁殖機会を得る。また、大きい個体ほど生物学的要因(捕食者・同種内競争率)・非生物的要因(気候・水温等)による死亡率が低いことも知られている。すなわち、体サイズは個体の繁殖・生残に強く影響する因子であり、個体の成長に関わる要因を明らかにすることは重要である。本研究で扱うサケ科魚類においても、大きい個体ほど生息場所を巡る直接的な競争関係において優位であり好適な場所を獲得し、繁殖期においてより多くの子孫を残し、河川・海洋の両生活期において生存率が高い。このように生活史を通し、大きい個体ほど有利であることが報告されている。では、どのような個体が速く成長するのであろうか?サケ科魚類においては、稚魚期における成長が、海に下って回遊する降海型と、河川内の生活のみで成熟する残留型との生活史の分岐要因に強く関係していることからも、成長に関わる要因を解明することは大変興味深い課題である。
ISSN:0021-5007
2424-127X
DOI:10.18960/seitai.53.1_43