相模湾で観測されたロランCのLOP歪み

ロランCは、位置の線(LOP:Line of Position)として、主局と従局から受信点までの電波伝搬時間差で表わされた主、従局を焦点とする双曲線を利用する電波航法システムである。搬送波である100kHzの地表波パルス信号が安定しているので、位置の信頼性が高く、漁船などにも広く普及している。1994年10月に旧ロランC北西太平洋チェーン(GRI)は、米国から日本への移管を完了した。そして新たに北西太平洋チェーンとして、主局をグアムから新島に移設し、従局を沖縄の慶佐次、南鳥島、北海道の十勝太および韓国の浦項に配置する1主局と4つの従局で構成されるシステムとして運用が開始されている。主局の移設...

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Veröffentlicht in:日本水産工学会誌 1998, Vol.34(3), pp.263-270
Hauptverfasser: 柿原, 利治, 宮本, 宮本, 武田, 誠一, 上野, 公彦, 佐藤, 要
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ロランCは、位置の線(LOP:Line of Position)として、主局と従局から受信点までの電波伝搬時間差で表わされた主、従局を焦点とする双曲線を利用する電波航法システムである。搬送波である100kHzの地表波パルス信号が安定しているので、位置の信頼性が高く、漁船などにも広く普及している。1994年10月に旧ロランC北西太平洋チェーン(GRI)は、米国から日本への移管を完了した。そして新たに北西太平洋チェーンとして、主局をグアムから新島に移設し、従局を沖縄の慶佐次、南鳥島、北海道の十勝太および韓国の浦項に配置する1主局と4つの従局で構成されるシステムとして運用が開始されている。主局の移設により、従来までの利用者と局間の幾何学的配置関係が崩れたと同時に、利用者に至る地表波伝搬経路上の海、陸の分布も異なったものとなった。これに伴い、大地導電率や誘電率の変化は地表波の伝搬速度に影響を及ぼすことになり、海上伝搬を前提として算出されている海図上の時間差LOPに歪みを生じさせることとなる。その結果として、二本のLOPの交点として求める位置の精度も旧チェーン時のものとはかなり様相が違ってきていることが予想される。最近、急速に利用が拡大しつつあるGPS(Global positioning System)も本来は米国の軍事衛星であるため、将来にわたっての民間利用が完全に保証されているわけではない不透明さが残されている。
ISSN:0916-7617
2189-7131
DOI:10.18903/fisheng.34.3_263