大分県の貴重な天然林及び代表的な人工林の総合調査

多様で機能の高い森林造成の指針を得ると共に、環境の評価のためのモニタリング資料を得るため、大分県下一円を対象に、極盛相あるいはその途上にある広葉樹天然林、高齢で優良なスギ、ヒノキの人工林など45林分の調査を行った。これら林分について林分構造、植生、土壌の理化学分析を行い、土壌の水源涵養機能の推定、土壌の炭素貯留量の算定など総合的な評価を行うと共に林種の特性について検討した。林分構成において最も特徴的なことは、広葉樹類はスギ、ヒノキの人工林に較べ、高齢になっても樹高が低く、形状比の低い林を形成していた。このため広葉樹類特に常緑広葉樹は重心高が低くなるため、台風など自然災害に対して、耐性があると考...

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Veröffentlicht in:大分県林試研報 2002-03 (14), p.1-204
Hauptverfasser: 諌本, 信義, 高宮, 立身, 山田, 康裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:多様で機能の高い森林造成の指針を得ると共に、環境の評価のためのモニタリング資料を得るため、大分県下一円を対象に、極盛相あるいはその途上にある広葉樹天然林、高齢で優良なスギ、ヒノキの人工林など45林分の調査を行った。これら林分について林分構造、植生、土壌の理化学分析を行い、土壌の水源涵養機能の推定、土壌の炭素貯留量の算定など総合的な評価を行うと共に林種の特性について検討した。林分構成において最も特徴的なことは、広葉樹類はスギ、ヒノキの人工林に較べ、高齢になっても樹高が低く、形状比の低い林を形成していた。このため広葉樹類特に常緑広葉樹は重心高が低くなるため、台風など自然災害に対して、耐性があると考えられた。土壌の化学性において、特徴的なことは、スギ林で肥沃性が高く、極盛相で機能が高いと考えられた広葉樹林で低いことであった。ヒノキ林の肥沃性は低かった。スギ林では置換性のカルシュウム及びマグネシュウムが有意に多く(pヒノキ林244(±39)mm、>スギ林239(±67)mmであり、これは粗孔隙保水容量の約70%の値を示した。また、水源涵養に対して抑制的に作用する細孔隙保水容量は、ヒノキ林で大きく、常緑広葉樹林で少なかった。水源涵養に対するバックグランドの要因効果は、土壌母材で認められ、火山灰や変成岩類で促進的であり、安山岩類では抑制的に作用していた。土壌中の深さ1mまでの炭素貯留量は、最大で497.9Cton/ha、最小は70.9Cton/haで平均は228.6Cton/haでバラツキが大きかった。炭素貯留量は火山灰土や容積重の大きい土壌で大きく、林種よりも土壌母材、地形などのバックグランドの要因効果が大きかった。 キーワード:林種、極相林、優良人工林、水源涵養、土壌肥沃性、炭素貯留
ISSN:0289-4033