種間交雑(Fragaria x ananassa×F. nilgerrensis)による新芳香性イチゴ系統の育成

F. nilgerrensisを始めとするアジアに自生する2倍性野生種は, 栽培イチゴとの交雑和合性について調査されているが, 育種素材としては利用されていない.そこで栽培イチゴの遺伝的変異拡大を目的として, 2倍性野生種F. nilgerrensisから新しい香気特性を導入した育種素材系統の育成を試みた.栽培品種'とよのか'にF. nilgerrensis'雲南'を交配して得られた種間交雑系統は全て不稔であった.コルヒチンを添加した培地上で培養する試験管内染色体倍加処理を行うことにより, 稔性の回復した系統'TN13-125'が得ら...

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Veröffentlicht in:Engei Gakkai zasshi 2002/03/15, Vol.71(2), pp.208-213
Hauptverfasser: 野口, 裕司, 望月, 龍也, 曽根, 一純
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:F. nilgerrensisを始めとするアジアに自生する2倍性野生種は, 栽培イチゴとの交雑和合性について調査されているが, 育種素材としては利用されていない.そこで栽培イチゴの遺伝的変異拡大を目的として, 2倍性野生種F. nilgerrensisから新しい香気特性を導入した育種素材系統の育成を試みた.栽培品種'とよのか'にF. nilgerrensis'雲南'を交配して得られた種間交雑系統は全て不稔であった.コルヒチンを添加した培地上で培養する試験管内染色体倍加処理を行うことにより, 稔性の回復した系統'TN13-125'が得られた.RAPDによる雑種性検定の結果, 'TN13-125'は両親の特異的バンドを併せ持つことから種間雑種であることが確認された.'TN13-125'の形態は'とよのか'に類似したが, 葉柄および花柄に毛茸が多いなどF. nilgerrensis由来の特徴がみられた.'TN13-125'の果実は, 平均一果重, Brix, 酸度において栽培イチゴと同水準であったが, 果実硬度が低く, 果皮の着色が劣った.種間雑種系統の香気成分組成はF. nilgerrensisと類似し, ethyl acetateが豊富であり, モモ様の香りを持つことが特徴的であった.さらに, 'TN13-125'は戻し交雑により栽培品種へ芳香性を導入することが可能であることから, 芳香性育種素材としても有用であると考えられた.
ISSN:0013-7626
1880-358X
DOI:10.2503/jjshs.71.208