マウス単為発生卵に及ぼすサイトカラシンBの影響

単為発生卵を細胞骨格阻害剤であるサイトカラシンで処理すると、第2極体の放出が阻害され、1細胞2前核型になることが知られている。今回我々は通常用いられる濃度(5μg/ml)よりも低い濃度(0.5μg/ml)のサイトカラシンBでマウス単為発生卵を処理すると、極めて高率に細胞質等分裂(2細胞2前核)型の卵が得られることを観察した。すなわち、マウス未受精卵を7%エタノールで室温・5分間処理して単為発生を誘導し、その後、0、0.5あるいは5μg/mlのサイトカラシンB添加のTYH培養液中で培養を継続した。エタノール処理開始6時間後に固定標本を作製し卵を観察したところ1前核1極体卵、2前核卵、1前核卵、2...

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Veröffentlicht in:The Journal of reproduction and development 2002-02, Vol.48 (1), p.31-40
Hauptverfasser: 新比惠, 啓志, 高橋, 正浩, 豊田, 裕, 佐藤, 英明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:単為発生卵を細胞骨格阻害剤であるサイトカラシンで処理すると、第2極体の放出が阻害され、1細胞2前核型になることが知られている。今回我々は通常用いられる濃度(5μg/ml)よりも低い濃度(0.5μg/ml)のサイトカラシンBでマウス単為発生卵を処理すると、極めて高率に細胞質等分裂(2細胞2前核)型の卵が得られることを観察した。すなわち、マウス未受精卵を7%エタノールで室温・5分間処理して単為発生を誘導し、その後、0、0.5あるいは5μg/mlのサイトカラシンB添加のTYH培養液中で培養を継続した。エタノール処理開始6時間後に固定標本を作製し卵を観察したところ1前核1極体卵、2前核卵、1前核卵、2細胞2前核卵の割合は、0μg/mlサイトカラシンB群ではそれぞれ63、11、3、15%であり1前核1極体卵が主であった。しかし、0.5μg/ml群では81%が2細胞2前核卵であり、5μg/ml群では90%が2前核卵であった。共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞骨格(アクチンフィラメント)および核の観察では、0.5μg/ml群では第2極体放出前の紡錘体の回転がなく細胞質の等分裂となり、2細胞2前核卵となることを観察した。第2極体放出に関わる紡錘体の回転にはアクチンフィラメントが関与していることが推察された。
ISSN:0916-8818