雄性生殖細胞の胚形成能
哺乳類の二倍体胚,雄および雌からの特化した生殖細胞(配偶子)の融合(受精)により形成される.最終的に分化した雄性生殖細胞,すなわち精子は,精巣上体でその受精能を獲得する.よって,体内受精および通常の体外受精の条件下では,精巣上体を通過した精子のみが卵子周囲の外殻に達し,透明帯を通過し,卵子と融合できる.近年発達した顕微授精技術は,不動精子のみならず,未成熟の精子も配偶子として利用することを可能にしている.マウスにおいては,伸張精子細胞,円形精子細胞,そして一次および二次精母細胞も正常産子に発生しうる二倍体胚の構築に参画できる.これらの発見は,第一減数分裂前に少なくとも一部の雄性生殖細胞は後生的...
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Veröffentlicht in: | The Journal of reproduction and development 1999-12, Vol.45, p.37-44 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 哺乳類の二倍体胚,雄および雌からの特化した生殖細胞(配偶子)の融合(受精)により形成される.最終的に分化した雄性生殖細胞,すなわち精子は,精巣上体でその受精能を獲得する.よって,体内受精および通常の体外受精の条件下では,精巣上体を通過した精子のみが卵子周囲の外殻に達し,透明帯を通過し,卵子と融合できる.近年発達した顕微授精技術は,不動精子のみならず,未成熟の精子も配偶子として利用することを可能にしている.マウスにおいては,伸張精子細胞,円形精子細胞,そして一次および二次精母細胞も正常産子に発生しうる二倍体胚の構築に参画できる.これらの発見は,第一減数分裂前に少なくとも一部の雄性生殖細胞は後生的ゲノム修飾を終了しており,雄生殖細胞染色体は同種の卵子内で2つの減数分裂を正常に進行しうることを示している.初期の一次精母細胞の染色体は対号を完了していないため第一減数分裂に入れない.更にさかのぼり,精祖細胞あるいは雄性始原生殖細胞は体細胞と同じ二倍体の染色体を有しており,このため除核卵子への核移植,すなわちクローニングにより二倍体胚を形成できる.マウス精祖細胞や雄性始原生殖細胞から構築した胚は胚盤胞および胎仔へと発生することが確認されている.このように,始原生殖細胞から成熟精子までのほとんどの雄性生殖細胞から,顕微授精技術あるいは核移植クローン技術を用いて二倍体胚を構築することができる.これらの技術は,遺伝子操作動物を含む遺伝的に貴重な種や系統の保存に明らかに有用である.また減数分裂の機構,ゲノム刷込み,細胞分化および脱分化などの基礎生物学の現象解明に大いに役立つであろう. |
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ISSN: | 0916-8818 |