宮崎県中部における照葉樹林の樹林面積と種多様性,種組成の関係
1.宮崎県中部に残存する自然性の高い社寺林(孤立化した照葉樹林)を対象にして,樹林面積と種多様性および照葉樹林要素の分布との関係を調査した. 2.照葉樹林要素の出現種数と社寺林の面積の関係は,GLEASON(1922)のモデルとARRHENIUS(1921)のモデルの両方によく適合した.この結果は兵庫県南東部の社寺林に関する研究結果(石田ほか1998)と同様であった. 3.面積(対数値)は微地形単位数や樹林の標高差とも高い正の相関を示したことから,社寺林における照葉樹林要素の出現種数は立地の総合的な環境の多様性によって支えられていると考えられた. 4.照葉樹林要素の出現種を面積の増減に対する分...
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Veröffentlicht in: | Nihon Seitai Gakkai shi 2000/12/25, Vol.50(3), pp.221-234 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1.宮崎県中部に残存する自然性の高い社寺林(孤立化した照葉樹林)を対象にして,樹林面積と種多様性および照葉樹林要素の分布との関係を調査した. 2.照葉樹林要素の出現種数と社寺林の面積の関係は,GLEASON(1922)のモデルとARRHENIUS(1921)のモデルの両方によく適合した.この結果は兵庫県南東部の社寺林に関する研究結果(石田ほか1998)と同様であった. 3.面積(対数値)は微地形単位数や樹林の標高差とも高い正の相関を示したことから,社寺林における照葉樹林要素の出現種数は立地の総合的な環境の多様性によって支えられていると考えられた. 4.照葉樹林要素の出現種を面積の増減に対する分布パターンの類似性によって次の4群に区分した.すなわち,大面積の社寺林に分布が偏るA群,大面積の社寺林から中程度の面積の社寺林にかけて分布するB群,小面積の社寺林では欠落するC群,大面積の社寺林から小面積の社寺林まで広く分布するD群である. 5.シダ植物(林床生)と着生植物が小面積化によって欠落する傾向が認められた.その原因の一つとして,シダ植物の欠落には小面積化による適湿地の消失が関係し,着生植物の欠落にはエッジ効果による樹林内の乾燥化が関係しているものと考えられた. 6.各社寺林に設置した方形区(225m2)の種多様度指数と面積(対数値)の相関を調べたところ,FISHERのαおよび森下(1967)のβと面積との間に比較的高い正の相関が認められた. |
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ISSN: | 0021-5007 2424-127X |
DOI: | 10.18960/seitai.50.3_221 |