野蚕繭 (アナフェサン・クリキュラ・アタカス) の精練染色と構造特性

野蚕繭 (アナフェサン, クリキュラ, ヨナクニサン) の精練方法, 紡績性, 染色性, 物性について検討した。 1) 炭酸ナトリウムを用いたアルカリ精練において, ガラ紡機で紡績糸をつくることが可能となる精練処方を検討した結果, アナフェサン繭は, 最初に4g/lの炭酸ナトリウム水溶液で3~4時間, 煮沸精練したのち, 精練液を更新して, 3g/lの炭酸ナトリウム水溶液で2~3時間, 煮沸精練を行うことが適切であることがわかった。 アナフェサン繭からは弾力性のある紡績糸が得られた。 2) 酸性染料の染着性においてエリサン繭紡績糸がもっとも高い染着率を示し, 次いでクリキュラ繭紡績糸, アナフ...

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Veröffentlicht in:Nihon sanshigaku zasshi 1999/10/30, Vol.68(5), pp.405-415
Hauptverfasser: 加藤, 弘, 秦, 珠子, 安田, 公三, 神田, 千鶴子
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:野蚕繭 (アナフェサン, クリキュラ, ヨナクニサン) の精練方法, 紡績性, 染色性, 物性について検討した。 1) 炭酸ナトリウムを用いたアルカリ精練において, ガラ紡機で紡績糸をつくることが可能となる精練処方を検討した結果, アナフェサン繭は, 最初に4g/lの炭酸ナトリウム水溶液で3~4時間, 煮沸精練したのち, 精練液を更新して, 3g/lの炭酸ナトリウム水溶液で2~3時間, 煮沸精練を行うことが適切であることがわかった。 アナフェサン繭からは弾力性のある紡績糸が得られた。 2) 酸性染料の染着性においてエリサン繭紡績糸がもっとも高い染着率を示し, 次いでクリキュラ繭紡績糸, アナフェサン繭紡績糸, 家蚕絹糸となり, ヨナクニサン繭紡績糸はもっとも低い染着率となった。 3) アナフェサン, クリキュラ, ヨナクニサンの各野蚕繭紡績糸のATR法によるFT-IRスペクトルを比較したところ, アミドA, I, II, Vの各ピーク位置はほぼ同じであり, 種属の異なる野蚕繭の紡績糸であっても, 糸表層部の分子鎖の立体構造は類似していることがわかった。 4) DSCおよびTGA測定から, 野蚕繭 (アナフェサン, クリキュラ, ヨナクニサン) 紡績糸の熱分解による吸熱ピーク温度は家蚕絹糸よりも40℃内外高いことが認められた。アナフェサン繭紡績糸と家蚕絹糸は熱分解初期の挙動が似ており, 野蚕繭 (クリキュラ, ヨナクニサン, エリサン) 紡績糸の熱分解挙動は全体的に類似していた。
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.68.405