深水処理の時期および期間が日本型水稲の生長と倒伏抵抗性に及ぼす影響

深水処理は水稲の生育制御技術の一つとしておこなわれることがある.深水(30cm)処理を有効分げつ決定期から節間伸長開始期まで(A-1区), 出穂期まで(A-2区), 登熟中期まで(A-3区)と, 節間伸長始期から登熟中期まで(B区), 出穂期から登熟中期まで(C区)とした5処理区および常時5cmの水深とした対照区を設けて, 稈の生長と倒伏抵抗性に及ぼす影響を調査し, 生育制御に適した深水処理の時期と期間を検討した.A-1, A-2, A-3の各区では対照区と比較して穂数が減少することなく有効茎歩合の向上が認められ, また稈基部の伸長節間の直径の増大が認められた.しかし, 処理期間が長いA-2区...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 1998/06/05, Vol.67(2), pp.153-158
Hauptverfasser: 大江, 真道, 三本, 弘乗
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:深水処理は水稲の生育制御技術の一つとしておこなわれることがある.深水(30cm)処理を有効分げつ決定期から節間伸長開始期まで(A-1区), 出穂期まで(A-2区), 登熟中期まで(A-3区)と, 節間伸長始期から登熟中期まで(B区), 出穂期から登熟中期まで(C区)とした5処理区および常時5cmの水深とした対照区を設けて, 稈の生長と倒伏抵抗性に及ぼす影響を調査し, 生育制御に適した深水処理の時期と期間を検討した.A-1, A-2, A-3の各区では対照区と比較して穂数が減少することなく有効茎歩合の向上が認められ, また稈基部の伸長節間の直径の増大が認められた.しかし, 処理期間が長いA-2区, A-3区では, 破生通気腔の著しい発達と皮層繊維組織の薄くなったことが原因と思われる挫折強度の低下が認められた.B区では, 有効茎歩合, 収量構成要素に対照区との差は認められなかったが, 基部の節間において徒長と挫折強度の著しい低下が生じた.節間の挫折強度の低下は皮層繊維組織ならびに基本柔組織の厚さが対照区に比べて薄くなったこと, さらに基本柔組織内に破生通気腔の発達が著しかったことが原因と判断した.C区では草丈, 稈長, 穂長および稈の組織には処理による影響はみられなかった.これらの結果から, 有効分げつ決定期から節間伸長期までの深水処理は合理的な生育制御技術として導入できる可能性が高いと考えた.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.67.153